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2013年8月21日 にあった、CEDECの講演についての記事です。

 

家庭用ゲーム機でFree to Playゲームを開発したらこうなった! ~バトオペの事例~


機動戦士ガンダム バトルオペレーション」についての講演です。http://pgdp.channel.or.jp/gundam/ps3/

 


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●バトオペ について


PS3の、オンライン専用アクションゲーム。
6対6のチーム戦
基本無料 + アイテム課金

 

2012年3月  クローズドβ
     6月  運営正式スタート
     7月  35万ダウンロード (1週間で)
     12月 PlayStation Awards2012 ユーザーズチョイス賞 受賞
                     PlayStationStore 特別賞 受賞
2013年8月  90万ダウンロード

 

・開発経緯

2008年11月  パッケージゲームとして、小規模開発 開始
2010年10月  α版開始

    → このタイミングで、どのように売ろうか? 議論になる。
      (この頃、家庭用のDLCが好調だった。)
    
2010年11月  様々なビジネスモデルを模索しだす。

    → Free To Play は、どうか?
      (背景として、バンナムでも ガンダムロワイヤルが大ヒットしていて
      Free To Play に理解があった)


 しかし、家庭用ゲームで Free To Play が成立するのか??
 
 バンナムも、開発も 不安がいっぱい
 そこで、様々なビジネスモデルを参考にした。

 


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●基本コンセプト

お金を使ったプレイヤーが、他の人から反感を買わないような 対人戦ゲーム

 

いくらプレイテクニックを磨いても、課金したプレイヤーが一番強くなるゲーム性の場合

→ 負けた側は、納得できない
  無課金プレイヤーは 課金プレイヤーに反感

→→ 課金する事自体が反感を買ってしまうようなゲームなら
  課金する人も、課金を躊躇してしまう。

 

・課金すると 強くなりやすい

・でも、課金した人が反感を買わない


この2つを両立させるなら、課金要素があっても 対戦ゲームは成立するに違いない!

 


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●既存のゲームを調査


時間をお金で買える要素が多い
(いわゆる 時短系


・経験値をより入手できるようになるアイテム
・ゲーム内のお金をより入手できるようになるアイテム
・レアなアイテムを入手しやすくなるアイテム
・スタミナ回復
・強いキャラ、装備 の販売

(この内 上4つが時短)

どんなアイテムだったら 反感を買わないのだろうか?


4つの時短系アイテムの内 一つだけ、決定的に違うものがある

→ スタミナ回復
  (ゲームを遊ぶたびに、スタミナが消費される。
   スタミナは 時間で回復するけど、課金することで すぐに遊べるようになる仕組み)

 


・スタミナ回復 は、短縮される時間が違う


その他の時短: ゲーム自体の遊ぶ時間を短縮する

スタミナ回復: ゲームの待ち時間を短縮する。


ゲーム自体の遊ぶ時間を短縮した場合

→ 他の人が頑張ってゲームをプレイした時間を お金で短縮する。

→ 反感を生みやすい
→→ 遊ぶこと自体 バカらしくなってしまう。

 


・既存のゲームは

ゲームを遊ぶ時間が多いプレイヤー = 強いプレイヤー
この構図を崩さない。


課金するだけで 強くなれる → 反感を生む

 


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●出撃エネルギー制

ゲームに参加する際、出撃エネルギーを1消費する。
2時間で 1回復。
ストックは 最大3つ

→ 1日 大体1時間プレイするのは 無料
  それ以上 遊びたいなら、課金してね。

  (時間をうまく調整することで、朝3プレイ 昼3プレイ 夜3プレイ
  を 無料で遊ぶことも可能)


→ アーケードゲームに近いプレイスタイル。

→→ たくさん遊ぶには お金が必要
   たくさん遊んだ人の方が強い!

 

ここ以外の部分で、課金によるプレイを制限しない
 (そもそも家庭用は 課金によるハードルが高い。
 課金をここだけ と限定する事で、そのハードルを乗り越えさせたい)

 

プレイを重ねた先に ちゃんとご褒美を用意する。

 MSに貼るシールや、ペイント機能を 当初は課金要素にする予定だったが
 プレイした結果のご褒美とし、ゲームを続けるモチベーションとした
 (アイテムを有料で販売する以上の価値を生んでいる)

 

・実際?

売上の70%は 出撃エネルギー

100円  (1個)  ・・・ 2%
480円  (6個)  ・・・ 6%
950円  (13個) ・・・ 16%
1850円 (27個) ・・・ 76%


→ 高額のセットが 一番売れている。

→ リリース当初は みんな様子見で、100円、480円ばかりだったが
 ゲームが定着するにつれ、このように遷移した。


キャンペーンで、期間限定で 出撃エネルギーのセールをする事も
(100円 2個、 480円 10個、 950円 20個、 1850円 40個)

キャンペーン初日、最終日は かなり売れる との事

 


・2012年 プレイステーションストア 売上ランキング

1位 ・・・ バトオペ  出撃エネルギー 1850円
2位 ・・・ サムライ&ドラゴンズ
3位 ・・・ バトルフィールド
4位 ・・・ ペルソナ ゴールデン
5位 ・・・ バトオペ  出撃エネルギー 950円

37位 ・・・ バトオペ  出撃エネルギー 480円


かなり売れています

1850円は 950円の4倍 売れている。

 


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●各種ブースター

・経験値をより入手できるようになるアイテム
・ゲーム内のお金をより入手できるようになるアイテム
・レアなアイテムを入手しやすくなるアイテム

これらの時短アイテム。
バトオペにもあります。


→ 反感買うから NGなのでは?

→→ 買った人が 反感を買わないよう 工夫した

 

・自分のためだけではなく、他の人にも恩恵のおすそ分け

 使った本人  ・・・ その戦闘の報酬が増加
 チームメイト ・・・ その戦闘に勝つと、報酬が増加

→ チームメンバー全員に ブースターの効果が発揮する。
 (自分は買っても負けても必ず。 チームメンバーは 戦闘に勝利すると)


→ 自分のために使っているのに、
  他の人に 「使ってくれてありがとう」 と言われる。
  

→→ 感謝されると気持ちいいので、もう1つ買おう となる。


それに加え、ブースターが使われた戦闘は 絶対に勝とう! と戦意高揚になり
ゲームのメリハリも生まれた。

 

・売上


全体の売上の 15%


経験値ブースター         11%
開発ポイントブースター(お金)  34%
設計図ドロップブースター     55%

 


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●リミット解除


・強いキャラ、装備 の販売

これもやっています。

→ 無課金ユーザーの反感を買わないよう工夫

 

・ゲームを遊ばず、お金を払うだけでは手に入らないようにした

  ゲームをプレイして、設計図を集めないと 新しい機体は手に入らない
  (ガチャのような お金で強さが手に入る形式は避けた)


・無課金でも 全ての機体で遊べるようにした。

・ただし、LV5以上の機体を手にしたい場合は 課金が必要 (リミット解除 300円)

→ LV5の設計図を手に入れるためには、
 LV1の機体を完成させ、次にLV2の機体を完成させ・・・
 とLV4の機体を完成させた後になるため 数十時間プレイがかかる。
 
 課金は そこまでした先の要素 とした

 


・モビルスーツを多く持っているプレイヤー

 × たくさんお金を使ったプレイヤー
 〇 たくさんゲームを遊んだプレイヤー
 
 = 強くなるためには プレイ回数が重要

 

・無料で遊んでいる人も 遊んでいると設計図が自ずと集めってくる

もし、レアな設計図が手に入ったなら 課金したくなるかも?

 


・売上

全体の売上の15%

 


・一部の機体を、無料で リミット解除できるようにした

→ ゲーム内ポイントを使用する事で、リミット解除

→ 無課金ユーザーが遊べる範囲を拡大させた。


売上が落ちた?

→ 想定より、売上が低下しなかった。

  対象の機体のみ 15%~25%の低下した
  (ゲーム内ポイントを節約するため 課金するユーザーは ちゃんと居る)


→→ むしろ、プレイヤーの継続率の増加に繋がった

 


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●ユーザーの定性調査

2012年11月 20代~40代の 2000円以上課金している男性 が対象


・好印象ポイント

無課金でゲーム要素が全て遊べる

課金すれば 目的のアイテムが必ず手に入る。

 (ガチャだと、目的の物が手に入るとは限らない)
 (無駄な投資をしなくて良い)

課金する人が強く、勝ち続けられるわけではない

 (勝つために課金する必要はない)
 (多人数チーム戦なので 1人が強くても勝てない。
 自分が弱くても、チームが勝利できるので満足)

 

・課金すれば 強くなるゲーム性にすると どうか? と質問

ほぼ全ての人が 否定的

→ 苦労して手に入れるのが楽しい
  レベルをコツコツ上げていくのが楽しい

 


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●その他

・スタッフはバトオペが大好き

日中、仕事でバトオペをし
家に帰ると、バトオペで遊ぶ (課金も もちろん自腹でする)

先日、社員旅行した時も PS3を旅館に持ち込み 遊ぶ姿まで

 

・時間の取得方法

サーバー内の時計を取得

(β版では PS3の本体時計を見ていたため
時計を操作して 延々に遊んでしまうユーザーが居た)

 

・ゲーム中の CPUのネットワーク負荷は?

大体 10% ~ 20%くらい
3msec

 

・開発人員について

企画 20% 、グラフィッカー 40% 、プログラマ 40%

運営のターンになると
企画 40% 、グラフィッカー 40% 、プログラマ 20%



・課金率?

具体的な数字は言えないけれども
一般的なソーシャルゲームのそれよりは かなり多め との事


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●まとめ


Free To Play の対人戦ゲームを成功のさせるために気をつけた事

→ 課金した人が 反感を買われないか?
→ 負けた時 納得できるか?


プレイに対して お金を払っているので
他の要素では 一切課金を強制しない作り

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