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ゲームを作ったり、ゲームを遊びまくったりしている せっき~の生き様。   まずは目次をご覧ください
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CEDECの講演
ゲーム世界を動かすサイコロの正体 ~ 往年のナムコタイトルから学ぶ乱数の進化と応用

より、
乱数を使った ドルアーガの塔迷路生成のアリゴリズムについて紹介です。

講演内容は、こちらです http://sekigames.gg-blog.com/Entry/288/



講演者の方も、
ナムコの乱数を取り上げるなら、ドルアーガの塔をせざるえない
という程、外せない内容との事です

このテーマだけで講演時間を全て使っても説明しきれない


(講演では、時間の関係で 触りのみでしたので
ある程度、せっき~の解釈で補完しています)



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●概要

ドルアーガの塔の 各ステージの迷路は、全てランダムで生成されています。



各ステージで、8ビット(0~255)の乱数のseed値を与え、乱数を作っています。
(seed値が同じなため、何度プレイしても 同じ結果になります
ドルアーガの塔の全ステージデータは 60バイトと、容量削減に繋がっています

 
↑ こちら、誤りでした。
 各階のseed値は 1階は1、2階は2 と 階数をseed値として初期化している との事です。
 
 ドルアーガの塔のステージデータは 60バイトすら 必要ありませんでした。
 後述の理由で、60階のseed値だけ 特別 255 で初期化されています。
 
 
 

各柱から ランダムで壁を伸ばします。



2ビットの乱数 (0~3)を取得し

00: 上に伸びる壁
01: 下に伸びる壁
10: 右に伸びる壁
11: 左に伸びる壁


伸ばした先の柱が、「外壁」 or 「既に壁がある柱」 だった場合
新たに「壁のない柱」から スタート

そうでなければ、伸ばした先の柱 で 同じ処理を行う

 →  


これを繰り返し、全ての柱に 壁があるなら迷路完成




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●しかし

完全にランダムに迷路を作った場合

とても複雑な迷路になって、足の遅いギルだと 制限時間内にゴールできないかも?
 
 
↑ 完全ランダムで作られた複雑な迷路

 
ここで、ドルアーガの塔 の乱数アルゴリズムの工夫が活きます。




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●線形帰還シフトレジスタ の使い方に工夫

詳しくは、乱数講演本編を参照ですが
http://sekigames.gg-blog.com/Entry/288/



ドルアーガの塔は、線形帰還シフトレジスタ を使っています。
このアルゴリズムは、1ビットの乱数を生成するアルゴリズムです。


2ビットの乱数を作るのであれば 本来、線形帰還シフトレジスタの処理を2回すれば良いのですが

ドルアーガの塔では、
線形帰還シフトレジスタ で得た 乱数の1ビット
前回得た乱数 1ビット

を使って 2ビットを生成しています。



前回、生まれた乱数が 1だった場合

次の壁は
10: 右に伸びる壁
11: 左に伸びる壁




右に伸びる壁(10) の後は、
必ず 上に伸びる壁(00)か、下に伸びる壁(01) になります。

となると、
右下へのジグザグ壁 というのが生まれやすい
(10 → 01 → 10 → 01 → 10 → 01 → )



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●更には

ドルアーガの塔で有名な 最終面のステージ



これは、seed値に 0xff を与えると生まれます。


線形帰還シフトレジスタ の弱点として、特定のseed値を与えると 同じ結果ばかりを返す
というものがあります。

今回の例の場合、1を返し続けたのですね

その結果、左に伸びる壁 (11) を生み続けて、あのような迷路が作られました。


本来、線形帰還シフトレジスタ の弱点ともいえる挙動なのですが
それすら、ゲームデザインとして見事に活用されたのは 頭が下がります。


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●まとめ

このようにして、ドルアーガの塔の迷路は作られています。


迷路を作るアルゴリズム なんてものは、いろいろあると思いますが
このように、線形帰還シフトレジスタ の特性を活かしたアルゴリズム というのは ならではと思います。

ここが、講演者によると ドルアーガのとの事ですが

大変面白いお話でした。

拍手[48回]

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2014年9月3日 にあった、CEDECの講演についての記事です。

事前登録者数45万人を獲得した施策『フライングゲットガチャ』 
良策を連発する為の異業種協業体制とは!?



サイバーコネクトツー
より リリースされた「フルボッコヒーローズ

セミナー表題は フライングガチャについて ですが
この講演をCEDECに応募したのは これより6ヶ月前
 

その時より、いろいろな事があり
売り上げ大きく落ちてしまいました

半分は、その反省について のお話になりました。
 

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●フルボッコヒーローズって?

STG + RPGの、スマホゲーム


・プロモーションでの方針

完全新作なので 最初にユーザーを集めないと 他社製品に太刀打ちできない

→ 事前登録 > 事後登録
 とした


今までのプロモーション ・・・
 質の良いコンテンツ + ネット広告  ← お金がかかる

これからのプロモーション
 事前登録 + バイラルを狙った施策


今までにないプロモーション手法で、事前に狙ってバイラルを起こし
インストールを最大化させる!

 

フライングゲットガチャ について

バイラルが起きて、さらにゲームユーザーに喜んでもらえる事ってなんだろう?

→ そういえば、リセットマラソンって大変だよね
 (強いキャラクターが欲しい)

→ じゃあ、最初から簡単にできる仕組みを作っちゃおう
 (ユーザーも強いキャラクターが手に入るし
 ゲームの序盤も、サクサク進むようになる)

→→ フライングゲットガチャの誕生

 

フライングゲットガチャ の流れ

事前登録

→ 公式サイトで フライングゲットガチャを回す

→→ ガチャゲット
  (シリアルNoをプレイヤーに送る)


→→ 1日で回せる回数を制限
→→→ 更に回したければ、SNSで拡散してもらうと 更に回せるようになる

 

フライングゲットガチャ 結果

事前登録者数       48万件
フライングゲットガチャ  996万回転
Tweet数       140万つぶやき
配信開始2日目で     総合無料5位

事前登録者と自然流入者で、継続者 約3倍 課金率 約6倍


→ かなり効果が高かった

 (普通 事前登録というと 1~2万件が普通
  良くて 3~4万件の中)

 


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●コンソールメーカーとスマホアプリメーカー の共同作成について

 文化の違う、2の会社で開発を行いました。

 ドリコム:       サバー側
 サイバーコネクトツー: アプリ側


しかし・・・


・「開発言語」の違いで苦労

ディレクター → プランナーを指す      ドリコム
          開発責任者を指す     サイバーコネクトツー

エンジニア  → プログラマを指す      ドリコム
         使用しない         サイバーコネクトツー

クライアント → アプリプログラムを指す   (ドリコム
         依頼会社、顧客を指す    サイバーコネクトツー

BU     → 5日連続ログインユーザー数 ドリコム
         使用しない         サイバーコネクトツー


初期のミーティングでは、お互い話が一切かみ合わなかった

 

・スケジュール感覚の違いで苦労

β版提出後

 ドリコム側     「リリース直前まで改良を続けよう
           ブレストを重ねて、更にブラッシュアップしていく段階

 サイバーコネクト側 「残り1ヶ月 完成に向けて調整しよう
           仕様はFIX
           バグ修正と調整を行う段階。


全体スケジュール

 ドリコム側      リスクヘッジを組み込んだ上で スケジュールを組んでいた

 サイバーコネクト側  想定上最善の流れでスケジュールを組んでいた

→ 両社で実装を別々に完結させようとしている間は問題なかったが
 お互い密接した作業を行うようになってから 徐々に歪みが発生

 

・データベース設計に対する考え方のズレ

 ドリコム
    パフォーマンスを重視し、サーバーサイドとしては正しい考え方でデータベースやAPIを設計

 サイバーコネクト
   運用時の管理のし易さを考えて、ゲームデータを入力し易い形でローカルデータベースを設計

→ この問題は特に大きく、両者設計の整合性を取るのに 非常に時間を消費
 結果として、開発後半の大事な時期に 1ヶ月の開発遅延を生んだ

 


・どう解決させたか?

→ サイバーコネクトツー社内に席を用意し、駐在してもらった
 常に顔を突き合わせられる環境を用意した事で じきに問題が起きなくなってきた

 

・2社開発を行ったメリット

ドリコム側      ネイティブアプリにおける開発ノウハウを得られた

サイバーコネクト側  サーバーを担当してもらった事で、アプリ部分の開発に集中できた

 

最初は 連携など、うまくいかなかったところもあったけれども
お互いの強みを活かす事ができた

 

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●フルボッコヒーローズの現状


売り上げの伸び悩み

→ リリースから6ヶ月間、売り上げが下がり続けている

大体・・・
 2ヶ月目  初月の8割 売上
 3ヶ月目  初月の6割 売上
 4ヶ月目  初月の4割 売上
 5ヶ月目  初月の2割 売上

8月にある試作を行い、少し回復した

 
フライングゲットガチャによって、とても良いスタートダッシュは切れたけれども
やり方間違えたり、運営で失敗すると 6カ月でここまで売り上げが下がってしまうという

一つの事例として見て欲しい

 


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●ここから ぶっちゃけた話

なんか、反省会がはじまりましたww

(この反省会の雰囲気は、ニコ生タイムシフト視聴で 実際、見てもらうしかありません)


・6ヵ月の運営を通じて

事前登録者数の勢い、初月の印象だっと 
もっと伸びておかしくないタイトルだっただけに、自分の力をふがいなく感じた

→ コンシューマー上がりで 慣れていなかったとはいえ
 今、6ヵ月前に自分を振り返ると わかっていない所が多かった

 

・ユーザーの期待を裏切ってしまった

→ 運用コストが高くて、新しいイベントなどを次々と提供できなかった

 このゲームは、バトルを楽しんでもらうのが 最大のコンセプト

→ しかし STGなので 
 キャラクターを増やすたび、面白い挙動・ショット を用意していかないといけない
 レベルデザイン・ゲームデザイン・バランス これを全てこなさないといけない

→→ 面白いゲームを提供をし続けるのが、難しかった


→ しかし、これは開発開始時からわかっていた事で
 大変だけれども、これは絶対面白い物になる という考えの元、スタートした

→→ キャラクターのパラメーターだけで一喜一憂できるのは ほんの1ヶ月
  後は惰性で続けるような物

→→ そこからユーザーを繋ぎ止めるのは ゲーム自体の面白さ
  
  ファミコン時代の原始的な面白さ
  触っているだけで楽しい、また明日も遊びたくなる
  そこで喜んでもらおうと考えた

 

・バトルの面白さは実現できている

→ しかし 面白さを ユーザーに長く楽しんで貰えるための施策が足りていなかった

→ 多様なキャラのバリエーション
  プレイングによる向上

  これを実現しうるコンセプトになっていなかった


  
・8月になり 右肩下がりだった売り上げが改善した

運営の仕方をガラっと変えた

→ ゲームの内容や、運営に関して、サイバーコネクトツーが主導権を握って進めた

→→ ここから フルボッコヒーローズver2.0 として生まれ変わります。

→→ 我々は 半年間で、とても反省しました。
   反省した後の我々は強いですよ!
   これからの フルボッコヒーローズを 見ていてください。




ちなみに、サイバーコネクトツーの全社員に 「フルボッコヒーローズ」の現状は伝えています。
(福岡本社180人 、東京スタジオ 40人、 
家庭用ゲーム、スマホアプリスタッフ関係なく全員に)

→ 具体的な数字と、「これが最後の戦いである」という宣言と
 
→→ 「フルボッコヒーローズ」は サイバーコネクトツーのゲームなので 何か気付く事があれば言って欲しい とも

  すると、部署・役職 関係なく 多くの意見、アイデアが貰えるようになった
  定時後にも、何か可能なら手伝えることはないか という声も

拍手[0回]

2014年9月4日 にあった、CEDECの講演についての記事です。


執筆のススメ ~会社勤めをしながら著述賞をとる方法~

ゲームを動かす技術と発想」を執筆した 堂前氏
ゲームの作り方 Unityで覚える遊びのアルゴリズム」を執筆した 加藤氏

共に、バンダイナムコの社員の方ですが (プログラマ)
仕事をしながら いかに書籍の出版にいたったか

についてのお話です。

 

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●本の紹介


ゲームを動かす技術と発想



  2012年9月刊行
  CEDEC2013 著述賞を受賞

 ゲームの基礎挙動をソースを使わず図で解説。
 → 主に非プログラマや 学生向け

 ほぼ一人で執筆

 スケジュールは 2012年2月 ~ 8月 (約半年)

 


ゲームの作り方 Unityで覚える遊びのアルゴリズム


 2013年2月刊行

 10本のミニゲームを題材に、Unityでゲームの作り方を解説

 社内の大勢の人の力を借りて制作された との事
 (社内の人が 個人で作ったミニゲームを Unityに移植して使わせてもらった)

 

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●本を書こうとしたきっかけ


ゲームを動かす技術と発想

・プログラマ以外の人に向けて、ゲームの内部動作がよくわかる教材を作ろうと思った
 → 例えば 「デプスバッファ」って プログラマなら知っているけど
  非プログラマって それを知れる機会って無いですよね


・「プログラムって難しそう」というイメージを払拭できればいいな


・仕事で関わっているゲームが評価されたとしても それはチームが評価されている事
  → ゲーム業界の人間として、個人として 評価されたかった

 

ゲームの作り方 Unityで覚える遊びのアルゴリズム


・仕事で先輩に、ゲーム作りの面白さや ゲームの作り方を教わった
 → 自分も、同じように 次の世代に伝えたい


Unityで ミニゲームを10本作って、そのTipsをまとめよう と思いついた
 → 自分の思い付きを 他の人が先を越されたら悔しい
 → じゃあ、もう書いちゃえ


・会社の偉い人が 「最近の社員は大人しいな」と言っている話を聞いた
 → じゃあ、なんかやってみよう

 

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●執筆にあたって

大事なのは、本業をおろそかにしてはいけない
という事


ゲームを動かす技術と発想

・一人で執筆した

 モチベーションを保つのが大変
 業務外で 本当に執筆できるのか? (時間、体力)


→ ほとんど 通勤時間を利用して書きあげた

  わざと各停電車を利用
   座れるし、まとまった時間(片道1時間)が取れる。
   ゲーム機など持ちこまなければ、執筆する以外になくなる

→ 無理やり 時間を作る仕組み にして、解決させた。

 

・図をどうやって用意したか?

しかし、絵心無い・・・

→ Keynote(プレゼンツール)を使用
   四角、円、矢印 の組み合わせで作り上げた

 (一部、商用フリー素材・フリーのデザイナーに仕事依頼)


・レイアウトなどは 出版社にお任せした。

向こうの方がプロなので

 

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●執筆して良かった事


ゲームを動かす技術と発想


・感想が貰えた
 
→ 主に、Twitter
   否定的な意見も参考になる
  (予想外に、プログラマの方からの評価が良かった)


・大学の講義のお誘いが入った


・社内での変化は 思ったほどなかった・・・
 → 特に 社内研修の資料として使われるわけでもなく


→→→ いろいろ苦労したけれども、書いて良かった

 


ゲームの作り方 Unityで覚える遊びのアルゴリズム


・印税でがっぽり みたいな景気の良い話はないです・・・

・CEDECで 「本買いました」と話しかけられた

・社内で、Unity絡みで 声をかけられる事が増えた
 
・GameJamのイベントに声をかけられて 運営として参加。

・自分の後に、社内で 本を書こうという人が増えた。



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●本を執筆しようか と考えている人にむけて


ゲームを動かす技術と発想

業務外とはいえ、社内で許可をちゃんと得ましょう。

本業との兼ね合いは 結構大変
→ だからこそ、本業をおろそかにしてはいけない

ターゲット層は しっかり定める。




ゲームの作り方 Unityで覚える遊びのアルゴリズム

書こうかどうか 迷っているのなら、書きましょう

やる気 だけは、自分だけの問題。
そこだけは、自分で頑張ってもらうしかない

→ 逆に言うと、そこ以外は 他の人に助けてもらう事ができる
 (サンプルプログラム欲しい、図解とか 挿絵が欲しい)



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●質疑応答より


・出版社と どのようにコンタクトしたか?

社内の人間に 出版社と繋がりある人がいたので 紹介してもらった。

企画書を書き、打ち合わせの場を設けてもらい
出版する事が決まった。

(執筆は、決定後に開始した)





拍手[0回]

2014年9月4日 にあった、CEDECの講演についての記事です。


ゲーム世界を動かすサイコロの正体 ~
  往年のナムコタイトルから学ぶ乱数の進化と応用

 

バンダイナムコのプログラマさんより乱数の講演です。

・ゲームで使われている主要な乱数のしくみについて
・乱数のアルゴリズムが改良されていく歴史
・乱数の選択の注意点

などについて、取り上げられました。

 
(乱数分布などは せっかくなので 初め、自分で乱数プログラム組んで 用意しようかと思ったのですが
力尽きてしまい・・・

撮影した写真を使わせていただきました)

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●はじめに

・真の乱数

→ 実際のサイコロ

予測不可能
再現不可能


・疑似乱数

→ ゲームプログラムで使われているのは こちら

でたらめに見えるが、法則性があり 実はすべて未来が決まっている
いつかは元の数字に戻る 周期がある)

 

●乱数の要素

・種 (seed)

・種を更新する アルゴリズム

・出力変換アダプタ
 (更新された種を 使いやすい形に変換する)

 

●今回の講演にむけて

ナムコから発売された、初期の業務用、家庭用 約50タイトルのプログラム(アセンブラ)を解析し

乱数アルゴリズムが どのように遷移していったのか 調査しました。


 業務用: 1980年代 (8ビット)
 家庭用: 1980年代前半 (MSX,ファミコン)

 

ちなみに、8ビットCPU というと・・・

 扱える数字   0~255
 メモリ空間   16 ~ 64KByte
 計算に使用できるレジスタ 1~2個
 掛け算、割り算 できない
 float   ない

 


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●混沌な時代

・手探りで乱数を模索


VSyncカウンタ(画面同期カウンタ)の利用

 ・・・ プレイヤーがボタンを押した瞬間の VSyncカウンタを乱数として使用する方法


テーブル(乱数表)を参照する方法
  → しかし、「乱数表」を用意するメモリは勿体ない


 

・パックマンでは

プログラムのROM内のメモリを乱数表と見立てて使用する方法

実装例: A = *((char *)( seed & 0x1fff ))


問題点・・・

 一様な乱数では無い。
 プログラムを変えると、乱数も変わってしまう。

 

・ギャラガでは

Rレジスタを乱数として使用した

・・・ Z80特有の メモリのリフレッシュを行うためのカウンタ
    
    → メモリの情報保持のために、CPUの動作関係なしに常に動いているレジスタ
      不規則な数字が格納されている

実装例: A = *((char*)( 0x100 + Vcnt + R ))
     A = A + R


問題点・・・

 Z80以外のCPUでは使えない。
 再現性がない
 乱数の値が一様である保証が無い

 

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●線形合同法

最も有名な乱数

 乱数 = ( seed * A + B ) mod 2^n


A = (4の倍数+1) 、 B = 奇数 の時、最大周期 2^n

C言語の rand()関数に使われているため 最もポピュラー

 

・ナムコのゲームでは 伝統的に

 seed * 5 + 1

が使われていた。


利点・・・

 掛け算がないCPUでも 容易に実装可能
 
 周期が最大 256 (8ビットなら)

 

具体例としては

 ポールポジション  seed * 5 + 1  +  Vカウンタ
 ディグダグ     seed * 5 + 1
 パック&パル    seed * 13 + 1

 

・欠点

分布を見てみると、縞になりやすい

 


下位ビットほど周期性がない

 → 下位1ビット目 周期2
   下位2ビット目 周期4
   下位3ビット目 周期8
   下位4ビット目 周期16

 


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●線形帰還シフトレジスタ

電子回路でよく用いられる方法

シフト演算器の特定ビットをXORして戻すだけ

1回の操作(クロック)で 1ビットの乱数を得られる

どのビットを抽出して、XORを取るか? で周期が決まる。
(8ビットだと 最大周期255)


例)

 4ビット目7ビット目を抽出して乱数を作ります。

 レジスタが 01011000 という状態のとき 4ビット目と7ビット目のXORは 1

1という乱数を得た後

レジスタを一つシフトし (01011000 → 10110000)
下位1ビットに 得られた乱数 1 を入れる (10110001


 → レジスタは 10110001 になる  (この時のXORは 0
 → レジスタは 01100010 になる  (この時のXORは 0
 → レジスタは 11000100 になる  (この時のXORは 1
 → レジスタは 10001001 になる  (この時のXORは 1
 → ・・・

こうして、得られたビットを 乱数として扱う。



利点・・・
 出力ビットのばらつきがとても良い

 

・実際の使用例

ギャラクシアンギャラガで 背景の星の配置に 使用していた。

他には、
ボスコニアン   6ビット目と14ビット目のXOR の反転 + Rレジスタ
マッピー     0ビット目と7ビット目のXOR の反転
ドラゴンバスター 8ビット目と15ビット目のXOR の反転

 

ドルアーガの塔 での使用例

ステージのフロアを 乱数で生成している。
(種はフロア毎に固定なので 毎回同じ形のステージになる)

4ビット目と7ビット目のXOR の反転 したものを使用


より踏み込んだ内容は、こちらにまとめました。
http://sekigames.gg-blog.com/Entry/291/




・欠点

 実装したコードを見ても、パッと見 何をしている処理か良く分からない。

 1回の操作では、1ビットしか取得できない
 (8ビットの乱数を得るためには 8回操作をしないといけない)

 変化しない形が存在する

 → 00000000 は何度操作しても 00000000 になる。
   (初期化に注意)

 

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●80年代 中頃


・線形合同法 + 線形帰還シフトレジスタ

両方の結果を足して、それを乱数とする手法

 

線形合同法線形帰還シフトレジスタ いいとこどり

→ 線形合同法の 下位ビットの周期性が改善
  線形帰還シフトレジスタの上位ビットの履歴も隠蔽

→ 乱数の周期が拡大
   (周期 55552)

 


●80年代末

テーブル参照主義 の復権

この頃 メモリが増大(MByteの時代) CPUはまだまだ遅かった


Sin、Cos、Atan、Sqrt なんでもテーブルに入れてしまえ
な時代だった

 

●90年代

C言語の襲来

→ 乱数アルゴリズムを自作せず
 rand() をそのまま利用するコードが主流に


→ 線形合同法の問題が再び・・・

 

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●現在の乱数

・GFSR (Generalized Feedback Sift Register)


線形帰還シフトレジスタ を32個並べれば 1回の操作で 32ビット乱数が取れる

  シフトレジスタ → ワード列の配列

 

欠点

 周期は 1ビット分の線形帰還シフトレジスタ と同じ

 適切な種で初期化しないと、適切な乱数が生まれてくれない

 

これが進化して

Twisted GFSR

→ メルセンヌ・ツイスター法  (超長大周期 2の19937乗 - 1)

 

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●まとめ

乱数は その性質を見極めて、正しく使いましょう


癖のある乱数も 使い方次第でゲームに味わいを生むことができる

→ ドルアーガの塔が とても良い例


過去の乱数アルゴリズム の反省点や改良から
今の メルセンヌ・ツイスター法 が生まれたという事もあり 過去の技術史を読む解くのも大変意義があります。

 

拍手[7回]

2014年9月3日 にあった、CEDECの講演についての記事です。


ファンも会社も大喜び!
ゲーム開発の副産物で年間3000万円稼ぐ宣伝広報室のヒミツ

 

サイバーコネクトツーでは、2008年ごろから、自社でグッズ販売を行っています。
(他社の人からは 珍しいと言われるけれども)


グッズ販売 その利点についての講演です。


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●デベロッパーがグッズ制作する理由


・だれもグッズ化してくれないから!

大きく成功した作品でなければ、グッズ展開してくれないため
(やはり、グッズ展開は二の次 な扱いになっている)

→ なら、自分たちで作ってしまおう

 

・デベロッパーが作るグッズにこそ、ニーズがある!

作品のことは開発会社が一番深く知っている。
作るならデベロッパーにしか作れない物

 

・社内にこんなもの ありませんか?

世界設定資料、コンセプトアート
キャラクター設定、デザインラフ、初期デザイン
アフレコ台本、絵コンテ
ラクガキ、没案
開発の様子がわかる写真

→ これらを冊子にまとめて、販売しましょう
 (サイバーコネクトツーのグッズは、ほぼ これらで成っている)

→→ これらの資料を 倉庫に眠ったままにするのではなく
  ファンであるユーザーに届けた方が良いのではないか?
  (ファンからすると、喉から手が出るほど 見たい資料)


7年間で 150種類のグッズを制作

 

・売り上げは?

2011年  3821万円  利益率 63%
2012年  3801万円  利益率 57%
2013年  3216万円  利益率 45%

→ 安定して 年間3000万円以上の売り上げ
  合計 1億2700万円の売り上げ (7年間で)

 

・グッズ制作事例

THE KEMONO BOOK」 オリジナル作品集

 生産数  2200冊
 販売価格 ¥2,000
 原価   ¥402
 版権料  ¥0
 利益   ¥1,503
 利益率  79%
 損益分岐 443冊

ドットハック セカイの向こうに+Versus」 完全設定資料集

 生産数  1050冊
 販売価格 ¥3,600
 原価   ¥1,754
 版権料  ¥133
 利益   ¥1,580
 利益率  47.4%
 損益分岐 526冊

 

・重要なのは

決して、出版社・権利元 などの商売を邪魔しない事

→ 例えば、ゲーム発売から1年後に など

→ 自分たちでグッズ展開するのは、作品のメディア展開が終わった後に。

→→ 展開終了後も付いてきてくれるような、濃いファンに向けた商品展開を行う。

 

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●安定したグッズ展開を可能にする社内体制

・社内にデザイン室を設けた

DTP経験者を3人 配置

→ 企画、デザイン、校正、販売をすべて自社で実施
  (こだわりのあるグッズを作るため)

→→ 制作の様子をブログ・SNSで拡散、告知、応援してもらう


→ ニーズや商機に合わせ 年間30点以上のグッズを制作
  企画段階から、社内デザイナーが参加することで スピードUPが実現

 

・非開発部門から収益を出せる

本来、直接的な利益を生まない 広報、宣伝部門なのに

 


・グッズ販売は、将来のファン獲得や、ゲームタイトルの売り上げ貢献を目指して行う

→ 利益追従ではない

 


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●グッズとイベントが生み出す ファン増加サイクル

・グッズがあれば、物販ができる
 (自社グッズがあれば、WEBやイベント、説明会、会社行事など
  何かにつけて販売できる)

      

・物販から利益を出せれば イベントに参加できる
 (イベントに参加するためには 出展費用や人員コストがかかるし・・・
 物販で利益を見込めれば これらで二の足を踏まずに済む
 
 → 積極的にイベントに参加できるようになる)

      

・イベントに参加できればファンが増える

      

・ファンが増えれば 売上も増える

      

・更に 多くのグッズを作る事ができる
 (そうなると、ファンも嬉しいし 会社も嬉しい

      

    (以下 繰り返し)

 

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●すべてはファンを増やすため

・「Fan first」で考える

ファンは情報に餓えている。

小さくても展開を続けていく事で ファンを退屈させない。

 

・例えば

「タイトル発売後、展開が止まって寂しい」

→ 毎年、書籍・グッズ展開して作品世界を終わらせない!


「作品の裏側まで全部知りたい」

→ 没案やラフ、開発者コメントまで 可能な限り掲載


「作品の関連グッズがたくさん欲しい」

→ グッズアンケートを実施し、展開できるものは随時展開



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●まとめ

会社にある副産物をうまく使って、いますぐグッズを作ろう!

グッズ販売で活動の選択肢を広げよう!

根強いファンを作り タイトルの販売に繋げよう!
 (↑ 最終目的)

 

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●質疑応答 より


・各商品の販売数は 2000とか 3000とか そんな単位

→ 出版社やクライアントにとっては 、わざわざ生産するほどではない量

→ だからこそ、自分たちで出さないと


・グッズで 利益が良いのは?

→ 圧倒的に
  ぬいぐるみは、大きく 倉庫コストがかかってしまう。
  タペストリーは、単価が高くて いい感じ


・グッズ販売の際の、クライアントとの契約は?

→ ゲーム制作と、グッズ販売は別
  毎回、新たに契約している。

・通信販売の手法は?

→ amazonが良い
  自分たちで通販して出荷していた頃は 大変だった。

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