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2010年8月31日 にあった、CEDECの講演についての記事です。


「コーエーの歴史シミュレーションゲームにおけるAI設計について」


信長シリーズ、三国志シリーズのAIについてです。


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●このジャンルのAIで、常につきまとう大きな課題

ユーザーに対抗できる勢力が ある時点で無くなってしまう。
→ ゲーム継続のモチベーションが無くなる
→ 簡単に最強勢力になってしまうと、すぐに 詰まらなくなる

(RPGのようにだんだんボスを強くするわけにはいかない)


求められるAI ・・・ ユーザーに負けないスピードで勢力拡大するAI

→ 勢力図がどんどん変わる新鮮味、敵が刻々と強くなる緊張感 を得られる


設計の際、スピードを重視している

 


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●”信長の野望 革新”を例に

施設を建てる内政要素がある ・・・ 金銭系、兵糧系、軍備系、学舎、防御施設
                     (学舎は、技術開発に必要)

勢力拡大で必要なものは ・・・ 軍備、兵糧、技術

このゲームの特徴は ・・・ 技術は重要だが、一つの研究に長期間かかる
                 同時に複数の研究ができない
                 学舎をたくさん用意しないといけない

             → 技術の獲得が、最も時間がかかる

AIの方針 ・・・ 技術の獲得が最優先である。


その結果として、作り上げたAI


施設建設のプライオリティ   金銭系 > 学舎 > ・・・
                  (お金は、研究含め 全ての要素に必要だから)


また、研究中に 次の研究に必要となる 学舎を建築させる。

常に研究ができるようにしている。


これが、ゲームの特徴にしっかり合ったAI

 

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●個別の判断と、総合的な判断

例) 拠点A 兵2万 、 拠点B 兵2万
   敵拠点 兵3万

この場合、拠点A 拠点B単体では 勝てないけど
拠点A,Bが力を合わせると 敵拠点に勝てるので 協力して勝てると判断させる。


例) 拠点A 兵2万
   敵部隊 兵1万  奥の敵部隊 兵2万

拠点Aは 敵部隊には勝てるが、奥にいる敵部隊に攻められると負けるため
無駄な兵や兵糧を消費しないよう、早々に退却させる。


個別な判断 < 総合的な判断

 

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●勢力の個性化と、雰囲気作り

・勢力の成長傾向

 武田 ・・・ 騎馬
 織田 ・・・ 鉄砲
など


有能無能の表現

 武田 ・・・ 有能
 今川 ・・・ 無能 (史実通り)

大名の能力に応じて、AIをあえて 非効率にさせる

→ 勢力の淘汰の促進にもつながり、とても有効


・史実エピソードに基づく判定

上杉謙信 ・・・ 姫を要求しない
武田信玄 ・・・ 甲斐国内で城を建てない
伊達輝宗 ・・・ 若くして家督を譲る

 

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●手加減

・開始時にAI制限
(ゲーム開始から、一定期間)

出陣禁止   ・・・ どんな弱小勢力をユーザーが使おうとも、対応期間を持てるように
引き抜き禁止 ・・・ 武将を守る猶予期間を持てるように
加増禁止   ・・・ ユーザーが好きな武将を引き抜きやすくするように

(加増 = 忠誠をあげるコマンド)


・初心者対策

初級 を、特に重要視している
(初めての人が初級で勝てないと、ゲームそのものが楽しめなくなるため)


勢力拡大抑制 → 拠点数、兵力に上限 (ユーザーと同程度か、少し上以上 伸ばさない)

拠点攻略を簡単に → 城の改築しない、増援しない

 

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●AIの負荷に対しての工夫

判定頻度を設定している

判定 多 ・・・ 部隊の移動など
判定 並 ・・・ 建築など 定期的で良いもの
判定 少 ・・・ 加増など たまで良いもの


・負荷を常に監視できる仕組み

→ 各処理に対して、「処理そのものが呼ばれた回数」
             「その処理の中で、一番時間がかかった時の 処理時間」
             「その処理の平均の処理時間」
             「呼ばれた合計の処理時間」

を 表示できるように

 

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●動作確認の工夫

・デモプレイ活用

→ プレイヤー0人で、AIにひたすら対戦をやらせる


・オートセーブ活用

→ 毎月、必ずセーブさせる
→ もし、何かまずい事が起きていた場合 その直前のデータを調査できるように


・アルゴログ

AIの思考を全て 理由付きで、テキストログとして出力させる
実行しなかった場合も、実行しなかった理由を残す

例)

【撤去】実行 都市Aの市場を撤去、アップグレードするために
【出陣】中止 兵糧が足りないため


AIは、ユーザーの見えない所で、それっぽく動いている
それを見えるようにする事で、かなり的確にAIのデバッグができる

 

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●優れたAIを実行するためには? (持論)

・ゲームシステムを決める際は、AIを念頭に置く

AIを無視して、ゲームシステムを決めてしまうと
AIを作る際に、コスト(費用)、負荷 で破綻してしまう
期間の問題で、AIの完成度を下げてしまう。


どんなに素晴らしいゲームでも、AIが大した事ないと ユーザーの評価が台無しになってしまう

→ AIをどうするか? 勝算持った上で、ゲームシステムを決めていく

 

・ゲームにうまくなる事が大事

AIの強さ = 設計者がプレイした際の 7割程度の強さ


・どんなゲームでも通用する HowTo は存在しない

(三国志で使った方法を、そのまま 信長には使えない
システムだけでなく、バランスが変わるだけで 強さに影響するため)

 

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●質疑応答

・一番、処理負荷がかかっているのは?

経路探索

→ A* を使っている。
→ 少しでも軽減するために、ゲームシステム的に どんな地形でも移動コストは同じにした。
 (↑ AIに合わせたゲームシステム)


・どんなワークフローで AIを作っている?

AI担当の企画は 1人  (三国志7信長 革新信長 天道 では)

一番はじめに、AIの仕様を決定して 資料にしっかりまとめる
(この時点で、全て決めている)

→ 各担当のプログラマに渡す
 

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2010年07月20日に行われたセミナーの記事です。


第6回 IGDA日本 SIG-BG テーブルゲーム交流会


講演 「気持ちよく『負けられる』ゲームデザイン
質疑応答部 です。


講演の内容につきましては、こちら

講演者 (株)ブシロード 島村匡俊氏


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Q. 逆転の要素について
  逆転の要素はもちろん必要だが、それの度合が大きすぎると 勝っている意義のないゲームにならないか?
  最後に逆転したプレイヤーが勝つだけにならないか?


A. 逆転はするのだが、ちゃんと勝てる状態にまで持っていく必要は無いと考えている。
  見た目的には有利になっているように見え、勝っている気にさせるだけで良い
  本質的に逆転させる必要はない

  ヴァイスでは、負けているプレイヤー程 強いカードを使えるようになる。
 強いカードを使えるので、もちろん 逆転できるのだが
 逆転すると、もちろん相手のプレイヤーも 強いカードを使えるようになるため
 最初に負けているプレイヤーが やはり負ける。



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Q.
 ヴァイスの大きな魅力の一つは キャラクター(版権)である。
  そのキャラクターが ゲーム中に原作再現をして ユーザーに楽しんでもらうような舵取りは どこがしているのか?
 (例 Aと言うキャラと、Bと言うキャラは仲が良いので 組んだら凄い事ができる)


A. カードゲームでは 世界初だと思うが、パブリッシャーである ブシロード(島村氏自身)が やっている。
  開発である 遊宝洞も、原作・アニメも全て網羅して 作品に対して理解してから進めてもらっている。

  遊宝洞は優秀なため、その上で ブシロード側の無理難題を いつも応えてくれている。



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Q. ヴァイスは、どんどんカードの種類が増えていっているが
  どうやって、ゲームバランスを整えているのか?


A. ヴァイスでは現在、ネオスタン と言う遊びを提唱している。
  全てのカードを混ぜて遊ぶのではなく、作品毎に 単体でデッキを作ってもらう
 (アイマスのカードだけのデッキ、なのは のカードだけのデッキ
 一応 混ぜる事はできるが、単体で遊んでもらう事を考えている)


 今までのカードゲームでは、全てのカードを揃えた前提のゲームデザインをしていた。
 しかし、今回は 作品毎に切り分けたゲームデザインをしているため やりやすくなっている。
  
 この ネオスタン と言う遊び方が ユーザーにとても評判が良く主流になってくれた。
 
 もちろん、混ぜて遊んだ時の 最低限の調整はしています。
 



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Q. カードゲームは インフラ整備が大切と考えている。
  そこについて、どう考えているか?


A. カードゲームはコンテンツと言うよりは、半分は インフラの商品である
  と言うのが、ブシロードの共通認識である。

   カード = ただの紙切れ
  それに価値を持たせる事が必要

 (千円札は 日本銀行が千円の価値である事を保証しているため みんな安心して使える)

  価値を持たせるために
 → このカードゲームは いつまでも続いていく と言うイメージを持たせる事

 → ブシロードは 様々な所でCMを流している。 (サッカーのワールドカップ など)
 → 「あんな所でCMしているようなカードゲームが、半年やそこらで終わるはず無い

 → 自分の持っているカードが ただの紙切れになる事は無いだろう と言う安心感
 → 安心して、カードを集めることができる。


 → 店舗側でも 安心して商品を売ってもらえるように と、ブシロード側からも駐在を派遣し サポートしている。



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Q. ゲームの1回の長さについて どう考えていますか?


A. 1ゲームの時間は できるだけ短くしたい
  が、ゲームをちゃんと遊んだ と満足に思える分岐点がある。


  MtGにおける 「4ターン目 ラスゴ(神の怒り)理論

  速攻デッキは、”神の怒り”を打たれると負けます。
  速攻デッキは、それを使われる前に勝負を決めないといけない と言うせめぎ合いが
 MtGの一つのゲーム制になっていた。

  100%打つ前に 速攻が勝つような状態の場合、クソゲー と呼ばれる。 (4ターン以内に勝負が決まる)
  ギリギリ間に合うか 合わないか?の駆け引きになっている場合 強いデッキ と呼ばれる
  100% 打たれるような場合 弱いデッキ と呼ばれる

 → 大体 ”神の怒り”を使えるかどうか? くらいで遊んだ気になれる


 → これを参考にして、1ゲームの時間を考えていった。



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Q. ユーザーの中には 駆け引きを楽しむコアゲーマーも居り
  運を重視するゲーム性にした場合、その訴求を満たせないと思われるが、そこについては どう考えているか?


A. 運の要素が増えれば増えるほど コアゲーマーにとっては 好まれなくなる事は承知している。

  しかし、突き詰めると その運の要素すら操って遊べるようにはしている
  ヴァイスは 一見、運の要素が満載のゲームではあるが、全国決勝に出場しているメンツは 大半が固定メンバーである

 → 強いプレイヤーは、どこで 運の要素でひっくり返るのか を予めわかっている
  その上で、プレイングをしたり 
   確率論をちゃんと考え、常に最善手を取り続けている。


 → その上でも、合わない と考える人については 性質上仕方ない と考える。

 → 会社的には、そのようなユーザーには 別のゲームを遊んでもらえるよう 用意したいと考えている。
 

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2010年07月20日に行われたセミナーの記事です。


第6回 IGDA日本 SIG-BG テーブルゲーム交流会 に行ってきました。

その中での、講演についての内容です。



○気持ちよく『負けられる』ゲームデザイン

講演者 (株)ブシロード 島村匡俊氏

元 MtGのヘビープレイヤー



キーワードは

・勝ったら 実力  、 負けたら 運


質疑応答 については、こちら

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●できるだけ多くのユーザーに、楽しく遊んでもらうために
”究極”のゲームではなく、”誰もが楽しめる”ゲーム



ゲームを遊ぶ人は、いろいろな人が居ます。


今まで、TCGは 子供たちの物 or ディーププレイヤーの物

→ 今まで以上のユーザーに手にとって貰えるTCGを!




●ゲームを遊ぶ目的の多様化


カードショップの店長をやっていた時、実感したこと


ゲームを 駆け引き、思考をがっつり遊んでいるプレイヤーは かなり稀だった
勝つため や 重度の駆け引きをするプレイヤーが全然居ない

(勝つために遊んでいる つもり
ある一定以上のレベルに上がろうとしない)


→ プレイヤーは 駆け引き、思考をする事を 目的にしていない

 ゲームを媒体にして、友人とコミュニケーションするのが目的である。

(彼らは そう言うつもりでは無いのだけれども、本質的には そうなのだ とわかった)




・結果を求める コアユーザー
    ↑
    ↓
過程を楽しむ ライトユーザー   ← 大半



「勝ったら 実力  、 負けたら 運」 のメンタリティ

誰だって勝ちたいけれども、(過剰に)努力したくない
勝てなさそうなゲームは 二度としない

→ 「だって、遊びなんだもん」



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●「負けた理由は運」 と言わせるために


○勝敗に直接かかわる部分に 運の要素を用意する

→ 例) 麻雀のツモ
→ 例) ヴァイス・シュバルツ の、ダメージキャンセル



・麻雀ってすごい!

明らかに強いプレイヤー相手でも、みんな勝つ気満々で 席に着く。

負けても、もう一度遊ぼう! と言う仕組みが形成されている。

(次の牌めくったら ツモってたよ!
今回は運が悪いだけ、また やろう!!)



それを参考に、ヴァイスでも

「次、めくってたら ダメージキャンセルしてたよ!」
「クライマックスカードが 山札の下に溜まってた、そりゃ 勝てないわ」

→ 今回は運が悪いだけ!






○最初から最後まで、負けていては 勝てる気がしない

→ 逆転の要素を用意する。


→ 例) 麻雀  勝ってなくても、国士無双や 四暗刻をテンパイ
    惜しかったな!




・TCGは 古くから、逆転の要素がゲームデザインに含まれています。


→ デュエルマスターズ  ダメージを受けると、手札が増える
                 シールドトリガー

→ バトルスピリッツ   ダメージを受ける、スピリットが破壊されると コアが増える


→→ 片方のプレイヤーが押すと、押された側が有利に




ヴァイス・シュバルツ では


ピンチになるほど、強いカードが使える
最後まで希望が持てる、ダメージキャンセル


結局は 強いプレイヤーが勝つけれども
負けたプレイヤーも、次は勝てるかも! と発想する

→ もう一回やろう!!




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●閑話休題  それを組み込んだ ヴァイス・シュバルツは どうだったか?


立ち上げ時期  全国28カ所で、体験会を開く


大変盛り上がった

→ 今回は負けたけれども、次は・・・
 と、今までのカードゲームには無い感じだ と新鮮な感じで受け入れてくれた

→ キャンセルした! 逆転した! と言う感触を 大騒ぎしながら遊んでくれた。
→ 周りで見ていて、とても楽しそうなゲームである
 これが大きい。 

(駆け引きゲームの場合、何もしゃべらず 黙々とプレイする。
プレイヤー同士は真剣だけれども、楽しく見えない)


→ ヴァイス・シュバルツ これはイケる! と確信した。





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●そして、更につきつめる


・大会を開いた場合・・・

勝ったプレイヤーは 1人
負けたプレイヤーは 残り全員


→ 負けた人が 楽しく感じるゲームを作ろう
 (勝った人は、単純に勝っただけでうれしい)




・リソース管理ができないプレイヤーでも
明らかに 有利に立っている と言うことが分からせること


→ 95%の人は、リソース管理ができない。

実は有利なのに、気付かない と言うゲーム性はいけない


→ 例) ヴァイスでは、明らかに強いキャラクターが並んでいると
    有利でる。




・勝っている側の行動も注意

→ 後ろ向きな行動を取らせないように
 (日本人は、後ろ向き 負けないやり方を取るのが得意)

→ 勝ちを目指す行動を あくまで有利で


→ 例) 守りを固め、「何もしません」「何もしません」と言う つまらないゲームにさせない。
     ヴァイスでは、毎ターン 攻撃をするよう促すゲーム性



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●最後に

できるだけ多くのユーザーに、楽しく遊んでもらう
”究極”のゲームではなく、”誰もが楽しめる”ゲームを





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●おまけ


ブシロードは 各地に駐在を派遣しています。

→ 実際の店舗で、常連のユーザーとやり取りしてもらうなど
 お客さんの声に、逐次 耳を傾けている。

→ どんな人が遊んでいて、どんな風に遊ばれているのか?
 を 常に意識している。

注) 一部の声が大きすぎるユーザーには注意
  下手すると、そのユーザー達にだけ 楽しいゲームになってしまう恐れがある。




ヴァイスでは 上の目的を達成するために 若干 覚える必要のあるルールが多くなってしまった。

→ ゲームデザイナー的には、いろいろなルールを付けざる得なくなって 好ましくないだろう

→ あえて、そう言う事をする事で
 一度覚えてもらった後は、とても楽しいゲームになったと思う。
 

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これは、2009年9月3日 に行われたセミナーの記事です。

CEDEC2009 3日目、基調講演
「国民的ゲームとは何か? ドラゴンクエストの場合」


講演者 堀井雄二


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●ドラゴンクエスト1の話


ファミコン初期時代

当時、アクションゲームばかりだたった

→ ここにRPGを出そう

→ けど、きっと ユーザーはRPGをどう遊べば良いかわからない

→ 文字だけで遊ぶゲーム ・・・ アドベンチャーゲームを先に遊んでもらう
 「ポートピア殺人事件

→ その後で、ドラゴンクエストを発売



・ドラゴンクエスト1では、いろいろ工夫しました。

総容量は 64KByte

1文字を 6bit (64種類) で節約 (全部のカタカナが入らない)
道具も  4bit (16種類)


言葉もかなり選んだ

→ 道具屋  

  この言葉は発明です。
  現実世界に道具屋なんて店無いですので
  しかし、言葉を見ただけで 何の店か一目でわかります



ドラゴンクエスト3までは、それほど苦労しなかった

ドラゴンクエスト3が本当に作りたかったものであり
ドラゴンクエスト1では、それを最小限までそぎ落とした物
ドラゴンクエスト2では、それにパーティーを追加した物

だからです。




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●なぜ ドラゴンクエストは人気を維持できるのか?

多くの人が遊ぶからこそ、大切にしている事。



・みんな マニュアルを読まない

→ マニュアルを読まなくても 遊べるように

 (例: ドラゴンクエスト1では 初めに王様の部屋に閉じ込めた
    王様の部屋を出る事には、基本操作を知らずに覚えている)


→ しかし、ガチガチなチュートリアルにしない

 (遊んでいる内に、自然に覚えるのが理想
 例えば、ドラクエ9の場合 自然にゲームの要素を覚える事のできるクエストを用意している)





・ドラゴンクエストの文法

→ 文法を覚えれば、シリーズが変わっても楽しめる




・ゲーム導入部分は 特に大事

→ 人は、初めにつまずいてしまうと 辞めてしまう

→ 堀井さんは 特に導入部分を何度も何度も遊んでチェックしていた




・ユーザーの内のちょっとの人が つまずく要素は 放置していいんじゃない?

→ ドラクエでは その考えはNG

→ ちょっと = 1% としても、400万人の1%は 4万人

→ ドラクエの使命は、全ての人に楽しんでもらう事である




・一番恐れていること

普段ゲームを遊ばない人が 「噂のドラクエをやってみよう」

→ 「何これ、全然わからない」
  「やっぱり自分は ゲームに向いていないんだ」

→ ドラクエのせいで、ゲームを遊ばなくなってしまう・・・

(「私でも遊べるゲームがあったんだ」 が理想)




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●シリーズについての話


・1が面白ければ、2は 更に面白いんだと期待される。


→ 映画では、その期待に応えるのは難しい
 (2時間の枠は、どう頑張ろうと 2時間なので)

→ ドラクエは 幸いにも、ハードの進化と共に 進んでこれた

→ ハードの進化によって 面白さも進化させていった



↑の話は、「ドラクエ8」まで

→ 「ドラクエ9」では 初の、ハードの性能を落としました。

(この決断には、相当に悩んだのです)




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●ドラクエ9のゲームデザイン


・最初の決定事項

 DSでマルチプレイできる ドラクエを作ろう

→ 酒の席で 盛り上がって決まった
→ 当時は 実現できるかどうかわからない、大きな夢だった



・コンセプト

 「ずっと遊べる
 「みんなで遊べる

→ できるのか?
 (今までのプレイスタイルは

 エンディングまで 50時間くらい遊んで終わる物
 人にヒントを聞かず 一人で黙々と遊ぶもの

 だったから)




・「ずっと遊べる」について

 1. エンディング後も遊べる ゲームデザイン

  ・エンディング後の世界を描く
  ・移動手段が増える

  → 新しい事が始まる事を 強調

  ・強くなるモチベーションを失わせない

  → ほぼ無制限に強くなる 成長システム
    それに伴い 更に強くなるモンスター  (宝の地図)
 

 2. 毎日 電源を入れたくなる仕組み

  ・wifiショッピング
  ・すれ違い通信
  ・時間経過で追加される要素  (wifiクエスト配信)




・「みんなで遊べる」 について

 1. みんなで攻略できる ゲームデザイン

   ・ゲームの攻略成果を共有できる

    → すれ違い通信で 宝の地図


   ・先行している人の情報が必要になる

    → クエスト、錬金など わざと難易度を高めに設定している

     (今までは、ヒントを全てゲーム内に配置して優しくしていた)

    → ネットで攻略情報を調べるのも、今のスタイルだと肯定



 2.人に話したくなる ゲームデザイン

   ・データを人と差別化できる

    → 見た目、強さ、遊び方

   ・ゲーム内の体験を人に話したくなる

    → あえて、クリア後は こうしろ など、何も指示しない



「スタートダッシュ型ゲーム」から「ロングラン型ゲーム」へ質的変換




・解決できなかった問題

シリーズでありながら、新しいプレイスタイルを提案し
かつ、従来のファンに理解してもらう事



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●ドラクエ9 開発を振り返って


・シナリオやゲームデザインの部分

今までは、堀井雄二1人でほとんど作っていたが
今回は、かなりのボリューム増なので やり方を変えた

堀井雄二を中心に、スクエニが作った



・堀井雄二 のコメント

「今まで作ったドラクエは 発売後 遊んだことは無かったが
今回は、自分が作っていない部分が多いので 純粋にゲームとして楽しんで遊んでいます



・シナリオのボリュームは 一番悩んだ

→ これだけしか入れる事ができないのか・・・
→ しかし、今回の目的は シナリオでは無く、システムで遊んでもらう事だ

→ 蓋を開けてみると、クエストのお陰で かなりボリュームあった



・女性ユーザーが多い

→ それを見越し、「着替えシステム」「拾い物システム」



・人によって ハマっている所が違う

フィールドを歩き回る、ひたすら強くなる、すれ違いをしまくる



・全てのシステムを循環できるよう目指した

錬金 → アイテム集め → 宝の地図 → 強くなる →  錬金金 → ・・・




・ユーザーの消化が早い!

かなりのボリュームを作ったハズなのに、予想以上に ユーザーが熱心に遊んでいる

→ 1年もつのか?

→ みんな、もっと ゆっくり遊んでほしい



・携帯ゲーム機にして 良かった

→ そうでないと、100時間なんて 遊んでもらえない




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●すれ違い通信について


・宝の地図を送れるようにして正解だった



・まさゆきの地図

→ まさか あんな地図が生まれるとは・・・

→ 決して 仕込んでいません!!



・さて、今から すれ違い通信をしよう!!

会場の人と、堀井雄二が すれ違い通信を開始


ちなみに、堀井雄二のキャラクター名は「ジョルジュ
(今日までで、820人 すれ違いました)



・(すれ違い通信で)ユーザーからのメッセージ

「移植版 ドラクエ6楽しみにしています」
「テリーを もっと使える子にしてください」

→ Lv上げています。



・堀井雄二と 会場に居た、遠藤雅伸(ゼビウス)が すれ違った

(なんと言う偶然)



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●いろいろ


・堀井 「ゲームは決して無くならない」



・ハードが進化してきた

→ しかし、面白さの本質は変わらない

→ 今は、ゲーム以外に 暇つぶしできる物がかなり多い

→ なので、ゲームの”とっつきやすさ”は かなり重要です!




・アイデアは 2作目に熟成する

ドラクエ8の ”テンション” ”スキル” は やってみただけ
ドラクエ9で 熟成された

なので、とりあえず 面白いと思ったものを入れてみるのが大事




・携帯機だったのを、次のシリーズで 据え置き機 に戻せるか?

→ 波がある

→ 久し振りに 据え置き機で遊ぶと
  「おおっ、きれいな画面だな!」と思うはず




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●国民的ゲームとは何か?



・昨今の情勢

 ゲーム開発費の高騰世界における 日本のシェアが8%

→ 各社、海外相手にどうしていくか?
 を真剣に考えている時代

→ その流れに、ドラクエも乗るか?


いや、ドラクエは 日本人のためのゲームで良いのではないか?


→ ドラクエは「日本人に一番楽しんでもらえるゲーム」である事を
 最大の使命としている!!!
 

拍手[0回]

これは、2010年6月5日 に行われたセミナーの記事です。


IGDAの 第二回SIG-ARG研究会
「ARGの作り方: 体験から実践・運営まで」




ARGとは何ぞや? と言う方は こちらの過去日記もご覧ください。
http://sekigames.gg-blog.com/Entry/8/
http://sekigames.gg-blog.com/Entry/9/
http://sekigames.gg-blog.com/Entry/10/


2つ目の講演 ”地方からのARG 天神ツイットハンティング”

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●まずは自己紹介


講演者 石川淳一さん (ゲーム会社 エレメンツの代表の方)

ARGとは全く関係無い、SLGを主体に ゲーム制作を長年されている方 との事



・なぜARGを始めたのか?

→ 元々 興味があった
→ 手軽にできそうだった
→ シリアスゲームとしての可能性  (活かせないだろうか?)
→ やりたいと言うメンバーが居た
→ 純粋に 面白そうだった



・元々ARGに詳しかったのか?

知ったのは、去年(2009年)の11月
→ と言うか、知ったのは 第一回 IGDA SIG-ARGにて



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●最初のトライアル  「博多バスゲーム」

http://busgameblog.elements-soft.jp/

・セミナー後、早速 何かしたくなった。


1月29日 「広電ゲーム(広島 路面電車ゲーム)」を ついったーで知る
  ↓
1月29日  地元の博多にローカライズしたネタを考えてみた
  ↓
3月1日  α版 トライアルをやってみた



・どんなゲームか?

1.最初に ミッションとなる目的地4ヵ所の ヒントを渡される

2.場所を推理し、バスを使い 各目的地を周る

3.カメラで 目的地の証拠写真を撮る

4.より早く 全てを周り ゴールするとOK




・反省点

思ったより、時間がかかった  (バスなので、渋滞に合う事も)

場所を広くし過ぎた   (欲張って 博多の全域をエリアにした)

博多の人間でも、バスに詳しく無い人が たくさん居た

ついったーで、ゲームを手動管理したのだけれども、とても大変だった




・でも…

自分たちで身体を動かすゲームは とても面白い!

地域観光、親子で、純粋な競争として 等 いろいろできそうだ


またやりたい



・「博多バスゲーム」が実現した理由

ゲームの原案は 2時間で作った

事前の仕込み、ラビットホール のような物を作らなかった
(当日だけのイベント)

専用のプログラムなど 作らなかった
ついったー等の既存のツール 、紙などのアナログツール など)

α版トライアルとしたので、失敗しても怖くなかった


→ 最終的に 全ての準備のためにかかったのは 5人日

→ 全て 本人の仕事範囲外の時間で 実現できた



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●そして本題のゲーム  「天神ツィット・ハンティング」


・発端


博多バスゲーム を何度もやるつもりだった

→ ついったー仲間より、場所を提供するから ついったーを使ったイベントを何かできないか? 提案を受ける
(2月の後半)


→ ドラマ仕立ての 本格的ARGが出来るかも?

→ やってみよう!




・Project92Q の存在

しかし、個人でやるには 限界がある
(会社の人間を使うわけにも いかないし)


そこに Project92Q

→ 福岡のついったー仲間で作られた、酒飲み集団

→ 面白そうなメンバーが集まっていた!

→→ ゲームデザイナー、音楽イベントプロデューサー、新聞記者、映像関係者、劇団のシナリオライター、コピーライター、グラフィックデザイナー 等など


→ せっかくのメンツなので、何かやってみよう!


各自自身が 善意での参加でやったので 製作費がかからなかった




・制作過程

プレイ期間 2~3週間のストーリーで
イベント当日を 最後に完結する ARGを作ろう!

→ すぐに断念
(準備期間が短く、満足できるシナリオや 仕込みができなさそう)

→ イベント当日だけで できるゲームにしよう




・概要

コンセプトは、ついったーを活かしたゲーム


表向きは、天神大名地区に隠された宝を ついったーを活用して 皆で探すゲーム

→ 実は、その裏で このイベントを開催する真の理由がある


と言うストーリー



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●「天神ツィット・ハンティング」 リハーサル

4月18日に、テストプレイ として リハーサルイベントを実施してみた


→ 問題続出!!


・参加者10人だったのだが、うまく役割分担してくれなかった
(何をすれば良いかわからない人や、勝手に仕切る人、良くわからず勝手な行動を取る人 など)

・町歩きを想定していた謎が 外に出ないで解けてしまった

・予想外に、誰もググらなかった
(ずっと、問題眺めながら うんうん悩んでいた)

・町の捜索で、こちらの予想外の範囲まで探し始めてしまった

・ちょっと凝ったストーリーにして 実は宝が無かったのだ、と言う展開にした所 大きな不満が出た

ついったーを利用した追いかけっこのイベントで逃げる人間が早過ぎて 追いつけなかった


→ 中身の8割を 作り直しに!



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●「天神ツィット・ハンティング」 当日


参加人数 25人


・リハーサルから改善

→ チーム分け、クイズは8問

→ 答えのヒントは、屋外 天神大名の町中に散りばめた

→ あらかじめ地図を用意し、エリアをはっきり決めた



・実際のゲームの流れ

会場でスタート、オープニングムービーを流す

クイズの謎を解くため、屋外に出てもらう

20分後、@frenzy092 と言う ついったーBOTが登場
→ BOTに クイズの答えを投げかけると 謎のキーワードが得られる

そのキーワードを集めると、ある場所を連想できる

その場所へ移動すると、封筒があった
→ 封筒の中には、ロッカーの鍵が

町中のロッカーの中から、この鍵がある物を探す
→ それを見つけると 更に謎が

その謎を解くと 新たな ついったーアカウントを見つけられる
→ ゲームの主催者(最終目的)のアカウントだった

主催者は 自分の居る場所や、自分の特徴のヒントなどを つぶやきながら移動している

→ 探し出して、捕まえる


→ ゲームクリア!!!!




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●「天神ツィット・ハンティング」 を作ったにあたり


・雰囲気作りは こだわった

ゲームの没入感に関わるので

→ ムービーを用意したり、挑戦状などの紙は それっぽい材質の物にし、会場の雰囲気 プロのMCにお願いする 等



・遠隔地の人への対応

→ 抽選で漏れた人や、遠隔地の人達も参加できる仕組み作り

→ 遠隔地の人が (ついったー経由で)解かないといけない問題
  ゲーム参加者が困っている時に、ついったーでヒントを送れるように
  Ustreamや ネットラジオ


→ しかし、当日は 実際の参加者達のフォローだけで一杯になり
 十分な対応ができなかった



・ストーリー性


物語の中に居るキャラクターが このイベントを開いた と言う構造

ゲームを進むにつれ、イベントを開催した 真の目的が明らかになっていく

オープニングイベントなどで、MCが 過去のシナリオを語る

ついったー上で、架空の参加者を用意

謎解きキーワードを 過去を匂わせる

クリア後 イベントの真の目的を語る


→ 半日のイベントで、いろいろ詰め込み過ぎた

→ 当日のプレイヤーは、謎解きに精いっぱい
 シナリオまで 気を回しきれなかった!



・ARGのツールとして、ついったー

→ 利点は・・・

 参加者同士の情報交換
 BOTを使った謎解き
 架空のキャラクターをタイムラインに
 ツイットをヒントに、追いかけっこ
 Ustreamを利用して 実況中継


→ ついったーを ここまで活用したゲームは珍しいと思う

→ が、全面的に使い過ぎて トラブルも
 (BOTのサーバーが不調になった、テストプレイで使った書き込みが消えてくれなかった)

→ ついったーのハッシュタグが流れ過ぎて、必要な情報を得づらかった


 ARGツールとして 新しい切り口に感じられた!




・参加者の感想

→ 良かった点

 みんなと協力できた
 追いかけっこが面白かった
 ついったー連動が面白かった


→ 悪かった点

 ロッカー探しが 大変すぎた
 ヒントがもっと欲しかった
 ユーストリームが見れなかった
 ストーリーを把握しきれなかった
 時間がオーバーめに
 歩き回ったので、疲れた



・反省点

 準備 当日までぐだぐだだった
(特に シナリオは、当日の朝まで 書き直していた)

 半日イベントなのに、ストーリー詰め込み過ぎ

 時間が かかり過ぎた

 遠隔地の人達が 追い切れなかった

 ついったーや ネットインフラに頼りすぎた
(トラブルがあった時が 危険)



・けれども…

基本的には、楽しんでもらえた!





・今後の課題


スタッフの善意の参加で できたから良かったけれども

→ 最終的に 30人くらいが参加した

→ 人件費を考えると 100万円以上かかるハズ  (300万円いくかも?)



ゲーム業界の人間は、他業界とのパイプが細すぎる

→ ARGをするためには、ゲーム業界以外の人脈が 大事

(商店街や、観光協会、普通の企業 など いろいろな提案先が考えられる)



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●まとめ



・アドバイス

まずは、やってみよう!

欲張らないで、できる範囲で

自分たちの強みを活かそう

今後のために、情報公開・交流を

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プロフィール
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せっき~
性別:
男性
職業:
ゲームプログラマ
自己紹介:
古いパソゲー、ボードゲーム、カードゲームを熱狂的に遊んでいます。


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