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2010年8月31日 にあった、CEDECの講演についての記事です。
「コーエーの歴史シミュレーションゲームにおけるAI設計について」
信長シリーズ、三国志シリーズのAIについてです。
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●このジャンルのAIで、常につきまとう大きな課題
ユーザーに対抗できる勢力が ある時点で無くなってしまう。
→ ゲーム継続のモチベーションが無くなる
→ 簡単に最強勢力になってしまうと、すぐに 詰まらなくなる
(RPGのようにだんだんボスを強くするわけにはいかない)
求められるAI ・・・ ユーザーに負けないスピードで勢力拡大するAI
→ 勢力図がどんどん変わる新鮮味、敵が刻々と強くなる緊張感 を得られる
設計の際、スピードを重視している
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●”信長の野望 革新”を例に
施設を建てる内政要素がある ・・・ 金銭系、兵糧系、軍備系、学舎、防御施設
(学舎は、技術開発に必要)
勢力拡大で必要なものは ・・・ 軍備、兵糧、技術
このゲームの特徴は ・・・ 技術は重要だが、一つの研究に長期間かかる
同時に複数の研究ができない
学舎をたくさん用意しないといけない
→ 技術の獲得が、最も時間がかかる
AIの方針 ・・・ 技術の獲得が最優先である。
その結果として、作り上げたAIは
施設建設のプライオリティ 金銭系 > 学舎 > ・・・
(お金は、研究含め 全ての要素に必要だから)
また、研究中に 次の研究に必要となる 学舎を建築させる。
→ 常に研究ができるようにしている。
これが、ゲームの特徴にしっかり合ったAI
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●個別の判断と、総合的な判断
例) 拠点A 兵2万 、 拠点B 兵2万
敵拠点 兵3万
この場合、拠点A 拠点B単体では 勝てないけど
拠点A,Bが力を合わせると 敵拠点に勝てるので 協力して勝てると判断させる。
例) 拠点A 兵2万
敵部隊 兵1万 奥の敵部隊 兵2万
拠点Aは 敵部隊には勝てるが、奥にいる敵部隊に攻められると負けるため
無駄な兵や兵糧を消費しないよう、早々に退却させる。
個別な判断 < 総合的な判断
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●勢力の個性化と、雰囲気作り
・勢力の成長傾向
武田 ・・・ 騎馬
織田 ・・・ 鉄砲
など
・有能、無能の表現
武田 ・・・ 有能
今川 ・・・ 無能 (史実通り)
大名の能力に応じて、AIをあえて 非効率にさせる
→ 勢力の淘汰の促進にもつながり、とても有効
・史実エピソードに基づく判定
上杉謙信 ・・・ 姫を要求しない
武田信玄 ・・・ 甲斐国内で城を建てない
伊達輝宗 ・・・ 若くして家督を譲る
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●手加減
・開始時にAI制限
(ゲーム開始から、一定期間)
出陣禁止 ・・・ どんな弱小勢力をユーザーが使おうとも、対応期間を持てるように
引き抜き禁止 ・・・ 武将を守る猶予期間を持てるように
加増禁止 ・・・ ユーザーが好きな武将を引き抜きやすくするように
(加増 = 忠誠をあげるコマンド)
・初心者対策
初級 を、特に重要視している
(初めての人が初級で勝てないと、ゲームそのものが楽しめなくなるため)
勢力拡大抑制 → 拠点数、兵力に上限 (ユーザーと同程度か、少し上以上 伸ばさない)
拠点攻略を簡単に → 城の改築しない、増援しない
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●AIの負荷に対しての工夫
・判定頻度を設定している
判定 多 ・・・ 部隊の移動など
判定 並 ・・・ 建築など 定期的で良いもの
判定 少 ・・・ 加増など たまで良いもの
・負荷を常に監視できる仕組み
→ 各処理に対して、「処理そのものが呼ばれた回数」
「その処理の中で、一番時間がかかった時の 処理時間」
「その処理の平均の処理時間」
「呼ばれた合計の処理時間」
を 表示できるように
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●動作確認の工夫
・デモプレイ活用
→ プレイヤー0人で、AIにひたすら対戦をやらせる
・オートセーブ活用
→ 毎月、必ずセーブさせる
→ もし、何かまずい事が起きていた場合 その直前のデータを調査できるように
・アルゴログ
AIの思考を全て 理由付きで、テキストログとして出力させる
実行しなかった場合も、実行しなかった理由を残す
例)
【撤去】実行 都市Aの市場を撤去、アップグレードするために
【出陣】中止 兵糧が足りないため
AIは、ユーザーの見えない所で、それっぽく動いている
それを見えるようにする事で、かなり的確にAIのデバッグができる
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●優れたAIを実行するためには? (持論)
・ゲームシステムを決める際は、AIを念頭に置く
AIを無視して、ゲームシステムを決めてしまうと
AIを作る際に、コスト(費用)、負荷 で破綻してしまう
期間の問題で、AIの完成度を下げてしまう。
どんなに素晴らしいゲームでも、AIが大した事ないと ユーザーの評価が台無しになってしまう
→ AIをどうするか? 勝算持った上で、ゲームシステムを決めていく
・ゲームにうまくなる事が大事
AIの強さ = 設計者がプレイした際の 7割程度の強さ
・どんなゲームでも通用する HowTo は存在しない
(三国志で使った方法を、そのまま 信長には使えない
システムだけでなく、バランスが変わるだけで 強さに影響するため)
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●質疑応答
・一番、処理負荷がかかっているのは?
経路探索
→ A* を使っている。
→ 少しでも軽減するために、ゲームシステム的に どんな地形でも移動コストは同じにした。
(↑ AIに合わせたゲームシステム)
・どんなワークフローで AIを作っている?
AI担当の企画は 1人 (三国志7、信長 革新、信長 天道 では)
一番はじめに、AIの仕様を決定して 資料にしっかりまとめる
(この時点で、全て決めている)
→ 各担当のプログラマに渡す
第6回 IGDA日本 SIG-BG テーブルゲーム交流会
講演 「気持ちよく『負けられる』ゲームデザイン 」
の質疑応答部 です。
講演の内容につきましては、こちら
講演者 (株)ブシロード 島村匡俊氏
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Q. 逆転の要素について
逆転の要素はもちろん必要だが、それの度合が大きすぎると 勝っている意義のないゲームにならないか?
最後に逆転したプレイヤーが勝つだけにならないか?
A. 逆転はするのだが、ちゃんと勝てる状態にまで持っていく必要は無いと考えている。
見た目的には有利になっているように見え、勝っている気にさせるだけで良い
本質的に逆転させる必要はない
ヴァイスでは、負けているプレイヤー程 強いカードを使えるようになる。
強いカードを使えるので、もちろん 逆転できるのだが
逆転すると、もちろん相手のプレイヤーも 強いカードを使えるようになるため
最初に負けているプレイヤーが やはり負ける。
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Q. ヴァイスの大きな魅力の一つは キャラクター(版権)である。
そのキャラクターが ゲーム中に原作再現をして ユーザーに楽しんでもらうような舵取りは どこがしているのか?
(例 Aと言うキャラと、Bと言うキャラは仲が良いので 組んだら凄い事ができる)
A. カードゲームでは 世界初だと思うが、パブリッシャーである ブシロード(島村氏自身)が やっている。
開発である 遊宝洞も、原作・アニメも全て網羅して 作品に対して理解してから進めてもらっている。
遊宝洞は優秀なため、その上で ブシロード側の無理難題を いつも応えてくれている。
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Q. ヴァイスは、どんどんカードの種類が増えていっているが
どうやって、ゲームバランスを整えているのか?
A. ヴァイスでは現在、ネオスタン と言う遊びを提唱している。
全てのカードを混ぜて遊ぶのではなく、作品毎に 単体でデッキを作ってもらう
(アイマスのカードだけのデッキ、なのは のカードだけのデッキ
一応 混ぜる事はできるが、単体で遊んでもらう事を考えている)
今までのカードゲームでは、全てのカードを揃えた前提のゲームデザインをしていた。
しかし、今回は 作品毎に切り分けたゲームデザインをしているため やりやすくなっている。
この ネオスタン と言う遊び方が ユーザーにとても評判が良く主流になってくれた。
もちろん、混ぜて遊んだ時の 最低限の調整はしています。
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Q. カードゲームは インフラ整備が大切と考えている。
そこについて、どう考えているか?
A. カードゲームはコンテンツと言うよりは、半分は インフラの商品である
と言うのが、ブシロードの共通認識である。
カード = ただの紙切れ
それに価値を持たせる事が必要
(千円札は 日本銀行が千円の価値である事を保証しているため みんな安心して使える)
価値を持たせるために
→ このカードゲームは いつまでも続いていく と言うイメージを持たせる事
→ ブシロードは 様々な所でCMを流している。 (サッカーのワールドカップ など)
→ 「あんな所でCMしているようなカードゲームが、半年やそこらで終わるはず無い」
→ 自分の持っているカードが ただの紙切れになる事は無いだろう と言う安心感
→ 安心して、カードを集めることができる。
→ 店舗側でも 安心して商品を売ってもらえるように と、ブシロード側からも駐在を派遣し サポートしている。
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Q. ゲームの1回の長さについて どう考えていますか?
A. 1ゲームの時間は できるだけ短くしたい
が、ゲームをちゃんと遊んだ と満足に思える分岐点がある。
MtGにおける 「4ターン目 ラスゴ(神の怒り)理論」
速攻デッキは、”神の怒り”を打たれると負けます。
速攻デッキは、それを使われる前に勝負を決めないといけない と言うせめぎ合いが
MtGの一つのゲーム制になっていた。
100%打つ前に 速攻が勝つような状態の場合、クソゲー と呼ばれる。 (4ターン以内に勝負が決まる)
ギリギリ間に合うか 合わないか?の駆け引きになっている場合 強いデッキ と呼ばれる
100% 打たれるような場合 弱いデッキ と呼ばれる
→ 大体 ”神の怒り”を使えるかどうか? くらいで遊んだ気になれる
→ これを参考にして、1ゲームの時間を考えていった。
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Q. ユーザーの中には 駆け引きを楽しむコアゲーマーも居り
運を重視するゲーム性にした場合、その訴求を満たせないと思われるが、そこについては どう考えているか?
A. 運の要素が増えれば増えるほど コアゲーマーにとっては 好まれなくなる事は承知している。
しかし、突き詰めると その運の要素すら操って遊べるようにはしている
ヴァイスは 一見、運の要素が満載のゲームではあるが、全国決勝に出場しているメンツは 大半が固定メンバーである
→ 強いプレイヤーは、どこで 運の要素でひっくり返るのか を予めわかっている。
その上で、プレイングをしたり
確率論をちゃんと考え、常に最善手を取り続けている。
→ その上でも、合わない と考える人については 性質上仕方ない と考える。
→ 会社的には、そのようなユーザーには 別のゲームを遊んでもらえるよう 用意したいと考えている。
その中での、講演についての内容です。
○気持ちよく『負けられる』ゲームデザイン
講演者 (株)ブシロード 島村匡俊氏
元 MtGのヘビープレイヤー
キーワードは
・勝ったら 実力 、 負けたら 運
質疑応答 については、こちら
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●できるだけ多くのユーザーに、楽しく遊んでもらうために
”究極”のゲームではなく、”誰もが楽しめる”ゲームを
ゲームを遊ぶ人は、いろいろな人が居ます。
今まで、TCGは 子供たちの物 or ディーププレイヤーの物
→ 今まで以上のユーザーに手にとって貰えるTCGを!
●ゲームを遊ぶ目的の多様化
カードショップの店長をやっていた時、実感したこと
ゲームを 駆け引き、思考をがっつり遊んでいるプレイヤーは かなり稀だった
勝つため や 重度の駆け引きをするプレイヤーが全然居ない
(勝つために遊んでいる つもり
ある一定以上のレベルに上がろうとしない)
→ プレイヤーは 駆け引き、思考をする事を 目的にしていない
ゲームを媒体にして、友人とコミュニケーションするのが目的である。
(彼らは そう言うつもりでは無いのだけれども、本質的には そうなのだ とわかった)
・結果を求める コアユーザー
↑
↓
・過程を楽しむ ライトユーザー ← 大半
「勝ったら 実力 、 負けたら 運」 のメンタリティ
誰だって勝ちたいけれども、(過剰に)努力したくない
勝てなさそうなゲームは 二度としない
→ 「だって、遊びなんだもん」
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●「負けた理由は運」 と言わせるために
○勝敗に直接かかわる部分に 運の要素を用意する
→ 例) 麻雀のツモ
→ 例) ヴァイス・シュバルツ の、ダメージキャンセル
・麻雀ってすごい!
明らかに強いプレイヤー相手でも、みんな勝つ気満々で 席に着く。
→ 負けても、もう一度遊ぼう! と言う仕組みが形成されている。
(次の牌めくったら ツモってたよ!
今回は運が悪いだけ、また やろう!!)
それを参考に、ヴァイスでも
「次、めくってたら ダメージキャンセルしてたよ!」
「クライマックスカードが 山札の下に溜まってた、そりゃ 勝てないわ」
→ 今回は運が悪いだけ!
○最初から最後まで、負けていては 勝てる気がしない
→ 逆転の要素を用意する。
→ 例) 麻雀 勝ってなくても、国士無双や 四暗刻をテンパイ
惜しかったな!
・TCGは 古くから、逆転の要素がゲームデザインに含まれています。
→ デュエルマスターズ ダメージを受けると、手札が増える
シールドトリガー
→ バトルスピリッツ ダメージを受ける、スピリットが破壊されると コアが増える
→→ 片方のプレイヤーが押すと、押された側が有利に
・ヴァイス・シュバルツ では
ピンチになるほど、強いカードが使える
最後まで希望が持てる、ダメージキャンセル
結局は 強いプレイヤーが勝つけれども
負けたプレイヤーも、次は勝てるかも! と発想する
→ もう一回やろう!!
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●閑話休題 それを組み込んだ ヴァイス・シュバルツは どうだったか?
立ち上げ時期 全国28カ所で、体験会を開く
大変盛り上がった
→ 今回は負けたけれども、次は・・・
と、今までのカードゲームには無い感じだ と新鮮な感じで受け入れてくれた
→ キャンセルした! 逆転した! と言う感触を 大騒ぎしながら遊んでくれた。
→ 周りで見ていて、とても楽しそうなゲームである
これが大きい。
(駆け引きゲームの場合、何もしゃべらず 黙々とプレイする。
プレイヤー同士は真剣だけれども、楽しく見えない)
→ ヴァイス・シュバルツ これはイケる! と確信した。
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●そして、更につきつめる
・大会を開いた場合・・・
勝ったプレイヤーは 1人
負けたプレイヤーは 残り全員
→ 負けた人が 楽しく感じるゲームを作ろう
(勝った人は、単純に勝っただけでうれしい)
・リソース管理ができないプレイヤーでも
明らかに 有利に立っている と言うことが分からせること
→ 95%の人は、リソース管理ができない。
実は有利なのに、気付かない と言うゲーム性はいけない
→ 例) ヴァイスでは、明らかに強いキャラクターが並んでいると
有利でる。
・勝っている側の行動も注意
→ 後ろ向きな行動を取らせないように
(日本人は、後ろ向き 負けないやり方を取るのが得意)
→ 勝ちを目指す行動を あくまで有利で
→ 例) 守りを固め、「何もしません」「何もしません」と言う つまらないゲームにさせない。
ヴァイスでは、毎ターン 攻撃をするよう促すゲーム性
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●最後に
できるだけ多くのユーザーに、楽しく遊んでもらう
”究極”のゲームではなく、”誰もが楽しめる”ゲームを
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●おまけ
・ブシロードは 各地に駐在を派遣しています。
→ 実際の店舗で、常連のユーザーとやり取りしてもらうなど
お客さんの声に、逐次 耳を傾けている。
→ どんな人が遊んでいて、どんな風に遊ばれているのか?
を 常に意識している。
注) 一部の声が大きすぎるユーザーには注意
下手すると、そのユーザー達にだけ 楽しいゲームになってしまう恐れがある。
・ヴァイスでは 上の目的を達成するために 若干 覚える必要のあるルールが多くなってしまった。
→ ゲームデザイナー的には、いろいろなルールを付けざる得なくなって 好ましくないだろう
→ あえて、そう言う事をする事で
一度覚えてもらった後は、とても楽しいゲームになったと思う。
CEDEC2009 3日目、基調講演
「国民的ゲームとは何か? ドラゴンクエストの場合」
講演者 堀井雄二
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●ドラゴンクエスト1の話
・ファミコン初期時代
当時、アクションゲームばかりだたった
→ ここにRPGを出そう
→ けど、きっと ユーザーはRPGをどう遊べば良いかわからない
→ 文字だけで遊ぶゲーム ・・・ アドベンチャーゲームを先に遊んでもらう
「ポートピア殺人事件」
→ その後で、ドラゴンクエストを発売
・ドラゴンクエスト1では、いろいろ工夫しました。
総容量は 64KByte
1文字を 6bit (64種類) で節約 (全部のカタカナが入らない)
道具も 4bit (16種類)
言葉もかなり選んだ
→ 道具屋
この言葉は発明です。
現実世界に道具屋なんて店無いですので
しかし、言葉を見ただけで 何の店か一目でわかります
・ドラゴンクエスト3までは、それほど苦労しなかった
ドラゴンクエスト3が本当に作りたかったものであり
ドラゴンクエスト1では、それを最小限までそぎ落とした物
ドラゴンクエスト2では、それにパーティーを追加した物
だからです。
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●なぜ ドラゴンクエストは人気を維持できるのか?
多くの人が遊ぶからこそ、大切にしている事。
・みんな マニュアルを読まない
→ マニュアルを読まなくても 遊べるように
(例: ドラゴンクエスト1では 初めに王様の部屋に閉じ込めた
王様の部屋を出る事には、基本操作を知らずに覚えている)
→ しかし、ガチガチなチュートリアルにしない
(遊んでいる内に、自然に覚えるのが理想
例えば、ドラクエ9の場合 自然にゲームの要素を覚える事のできるクエストを用意している)
・ドラゴンクエストの文法
→ 文法を覚えれば、シリーズが変わっても楽しめる
・ゲーム導入部分は 特に大事
→ 人は、初めにつまずいてしまうと 辞めてしまう
→ 堀井さんは 特に導入部分を何度も何度も遊んでチェックしていた
・ユーザーの内のちょっとの人が つまずく要素は 放置していいんじゃない?
→ ドラクエでは その考えはNG
→ ちょっと = 1% としても、400万人の1%は 4万人
→ ドラクエの使命は、全ての人に楽しんでもらう事である
・一番恐れていること
普段ゲームを遊ばない人が 「噂のドラクエをやってみよう」
→ 「何これ、全然わからない」
「やっぱり自分は ゲームに向いていないんだ」
→ ドラクエのせいで、ゲームを遊ばなくなってしまう・・・
(「私でも遊べるゲームがあったんだ」 が理想)
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●シリーズについての話
・1が面白ければ、2は 更に面白いんだと期待される。
→ 映画では、その期待に応えるのは難しい
(2時間の枠は、どう頑張ろうと 2時間なので)
→ ドラクエは 幸いにも、ハードの進化と共に 進んでこれた
→ ハードの進化によって 面白さも進化させていった
↑の話は、「ドラクエ8」まで
→ 「ドラクエ9」では 初の、ハードの性能を落としました。
(この決断には、相当に悩んだのです)
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●ドラクエ9のゲームデザイン
・最初の決定事項
DSでマルチプレイできる ドラクエを作ろう
→ 酒の席で 盛り上がって決まった
→ 当時は 実現できるかどうかわからない、大きな夢だった
・コンセプト
「ずっと遊べる」
「みんなで遊べる」
→ できるのか?
(今までのプレイスタイルは
エンディングまで 50時間くらい遊んで終わる物
人にヒントを聞かず 一人で黙々と遊ぶもの
だったから)
・「ずっと遊べる」について
1. エンディング後も遊べる ゲームデザイン
・エンディング後の世界を描く
・移動手段が増える
→ 新しい事が始まる事を 強調
・強くなるモチベーションを失わせない
→ ほぼ無制限に強くなる 成長システム
それに伴い 更に強くなるモンスター (宝の地図)
2. 毎日 電源を入れたくなる仕組み
・wifiショッピング
・すれ違い通信
・時間経過で追加される要素 (wifiクエスト配信)
・「みんなで遊べる」 について
1. みんなで攻略できる ゲームデザイン
・ゲームの攻略成果を共有できる
→ すれ違い通信で 宝の地図
・先行している人の情報が必要になる
→ クエスト、錬金など わざと難易度を高めに設定している
(今までは、ヒントを全てゲーム内に配置して優しくしていた)
→ ネットで攻略情報を調べるのも、今のスタイルだと肯定
2.人に話したくなる ゲームデザイン
・データを人と差別化できる
→ 見た目、強さ、遊び方
・ゲーム内の体験を人に話したくなる
→ あえて、クリア後は こうしろ など、何も指示しない
「スタートダッシュ型ゲーム」から「ロングラン型ゲーム」へ質的変換
・解決できなかった問題
シリーズでありながら、新しいプレイスタイルを提案し
かつ、従来のファンに理解してもらう事
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●ドラクエ9 開発を振り返って
・シナリオやゲームデザインの部分
今までは、堀井雄二1人でほとんど作っていたが
今回は、かなりのボリューム増なので やり方を変えた
堀井雄二を中心に、スクエニが作った
・堀井雄二 のコメント
「今まで作ったドラクエは 発売後 遊んだことは無かったが
今回は、自分が作っていない部分が多いので 純粋にゲームとして楽しんで遊んでいます」
・シナリオのボリュームは 一番悩んだ
→ これだけしか入れる事ができないのか・・・
→ しかし、今回の目的は シナリオでは無く、システムで遊んでもらう事だ
→ 蓋を開けてみると、クエストのお陰で かなりボリュームあった
・女性ユーザーが多い
→ それを見越し、「着替えシステム」「拾い物システム」
・人によって ハマっている所が違う
フィールドを歩き回る、ひたすら強くなる、すれ違いをしまくる
・全てのシステムを循環できるよう目指した
錬金 → アイテム集め → 宝の地図 → 強くなる → 錬金金 → ・・・
・ユーザーの消化が早い!
かなりのボリュームを作ったハズなのに、予想以上に ユーザーが熱心に遊んでいる
→ 1年もつのか?
→ みんな、もっと ゆっくり遊んでほしい
・携帯ゲーム機にして 良かった
→ そうでないと、100時間なんて 遊んでもらえない
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●すれ違い通信について
・宝の地図を送れるようにして正解だった
・まさゆきの地図
→ まさか あんな地図が生まれるとは・・・
→ 決して 仕込んでいません!!
・さて、今から すれ違い通信をしよう!!
会場の人と、堀井雄二が すれ違い通信を開始
ちなみに、堀井雄二のキャラクター名は「ジョルジュ」
(今日までで、820人 すれ違いました)
・(すれ違い通信で)ユーザーからのメッセージ
「移植版 ドラクエ6楽しみにしています」
「テリーを もっと使える子にしてください」
→ Lv上げています。
・堀井雄二と 会場に居た、遠藤雅伸(ゼビウス)が すれ違った
(なんと言う偶然)
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●いろいろ
・堀井 「ゲームは決して無くならない」
・ハードが進化してきた
→ しかし、面白さの本質は変わらない
→ 今は、ゲーム以外に 暇つぶしできる物がかなり多い
→ なので、ゲームの”とっつきやすさ”は かなり重要です!
・アイデアは 2作目に熟成する
ドラクエ8の ”テンション” ”スキル” は やってみただけ
ドラクエ9で 熟成された
なので、とりあえず 面白いと思ったものを入れてみるのが大事
・携帯機だったのを、次のシリーズで 据え置き機 に戻せるか?
→ 波がある
→ 久し振りに 据え置き機で遊ぶと
「おおっ、きれいな画面だな!」と思うはず
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●国民的ゲームとは何か?
・昨今の情勢
ゲーム開発費の高騰、 世界における 日本のシェアが8%
→ 各社、海外相手にどうしていくか?
を真剣に考えている時代
→ その流れに、ドラクエも乗るか?
→ いや、ドラクエは 日本人のためのゲームで良いのではないか?
→ ドラクエは「日本人に一番楽しんでもらえるゲーム」である事を
最大の使命としている!!!
IGDAの 第二回SIG-ARG研究会
「ARGの作り方: 体験から実践・運営まで」
ARGとは何ぞや? と言う方は こちらの過去日記もご覧ください。
http://
http://
http://
2つ目の講演 ”地方からのARG 天神ツイットハンティング”
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●まずは自己紹介
講演者 石川淳一さん (ゲーム会社 エレメンツの代表の方)
ARGとは全く関係無い、SLGを主体に ゲーム制作を長年されている方 との事
・なぜARGを始めたのか?
→ 元々 興味があった
→ 手軽にできそうだった
→ シリアスゲームとしての可能性 (活かせないだろうか?)
→ やりたいと言うメンバーが居た
→ 純粋に 面白そうだった
・元々ARGに詳しかったのか?
→ 知ったのは、去年(2009年)の11月
→ と言うか、知ったのは 第一回 IGDA SIG-ARGにて
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●最初のトライアル 「博多バスゲーム」
http://
・セミナー後、早速 何かしたくなった。
1月29日 「広電ゲーム(広島 路面電車ゲーム)」を ついったーで知る
↓
1月29日 地元の博多にローカライズしたネタを考えてみた
↓
3月1日 α版 トライアルをやってみた
・どんなゲームか?
1.最初に ミッションとなる目的地4ヵ所の ヒントを渡される
2.場所を推理し、バスを使い 各目的地を周る
3.カメラで 目的地の証拠写真を撮る
4.より早く 全てを周り ゴールするとOK
・反省点
思ったより、時間がかかった (バスなので、渋滞に合う事も)
場所を広くし過ぎた (欲張って 博多の全域をエリアにした)
博多の人間でも、バスに詳しく無い人が たくさん居た
ついったーで、ゲームを手動管理したのだけれども、とても大変だった
・でも…
自分たちで身体を動かすゲームは とても面白い!
地域観光、親子で、純粋な競争として 等 いろいろできそうだ
→ またやりたい
・「博多バスゲーム」が実現した理由
ゲームの原案は 2時間で作った
事前の仕込み、ラビットホール のような物を作らなかった
(当日だけのイベント)
専用のプログラムなど 作らなかった
(ついったー等の既存のツール 、紙などのアナログツール など)
α版トライアルとしたので、失敗しても怖くなかった
→ 最終的に 全ての準備のためにかかったのは 5人日
→ 全て 本人の仕事範囲外の時間で 実現できた
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●そして本題のゲーム 「天神ツィット・ハンティング」
・発端
博多バスゲーム を何度もやるつもりだった
→ ついったー仲間より、場所を提供するから ついったーを使ったイベントを何かできないか? 提案を受ける
(2月の後半)
→ ドラマ仕立ての 本格的ARGが出来るかも?
→ やってみよう!
・Project92Q の存在
しかし、個人でやるには 限界がある
(会社の人間を使うわけにも いかないし)
そこに Project92Q
→ 福岡のついったー仲間で作られた、酒飲み集団
→ 面白そうなメンバーが集まっていた!
→→ ゲームデザイナー、音楽イベントプロデューサー、新聞記者、映像関係者、劇団のシナリオライター、コピーライター、グラフィックデザイナー 等など
→ せっかくのメンツなので、何かやってみよう!
各自自身が 善意での参加でやったので 製作費がかからなかった
・制作過程
プレイ期間 2~3週間のストーリーで
イベント当日を 最後に完結する ARGを作ろう!
→ すぐに断念
(準備期間が短く、満足できるシナリオや 仕込みができなさそう)
→ イベント当日だけで できるゲームにしよう
・概要
コンセプトは、ついったーを活かしたゲーム
表向きは、天神大名地区に隠された宝を ついったーを活用して 皆で探すゲーム
→ 実は、その裏で このイベントを開催する真の理由がある
と言うストーリー
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●「天神ツィット・ハンティング」 リハーサル
4月18日に、テストプレイ として リハーサルイベントを実施してみた
→ 問題続出!!
・参加者10人だったのだが、うまく役割分担してくれなかった
(何をすれば良いかわからない人や、勝手に仕切る人、良くわからず勝手な行動を取る人 など)
・町歩きを想定していた謎が 外に出ないで解けてしまった
・予想外に、誰もググらなかった
(ずっと、問題眺めながら うんうん悩んでいた)
・町の捜索で、こちらの予想外の範囲まで探し始めてしまった
・ちょっと凝ったストーリーにして 実は宝が無かったのだ、と言う展開にした所 大きな不満が出た
・ついったーを利用した追いかけっこのイベントで逃げる人間が早過ぎて 追いつけなかった
→ 中身の8割を 作り直しに!
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●「天神ツィット・ハンティング」 当日
参加人数 25人
・リハーサルから改善
→ チーム分け、クイズは8問
→ 答えのヒントは、屋外 天神大名の町中に散りばめた
→ あらかじめ地図を用意し、エリアをはっきり決めた
・実際のゲームの流れ
会場でスタート、オープニングムービーを流す
クイズの謎を解くため、屋外に出てもらう
20分後、@frenzy092 と言う ついったーBOTが登場
→ BOTに クイズの答えを投げかけると 謎のキーワードが得られる
そのキーワードを集めると、ある場所を連想できる
その場所へ移動すると、封筒があった
→ 封筒の中には、ロッカーの鍵が
町中のロッカーの中から、この鍵がある物を探す
→ それを見つけると 更に謎が
その謎を解くと 新たな ついったーアカウントを見つけられる
→ ゲームの主催者(最終目的)のアカウントだった
主催者は 自分の居る場所や、自分の特徴のヒントなどを つぶやきながら移動している
→ 探し出して、捕まえる
→ ゲームクリア!!!!
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●「天神ツィット・ハンティング」 を作ったにあたり
・雰囲気作りは こだわった
→ ゲームの没入感に関わるので
→ ムービーを用意したり、挑戦状などの紙は それっぽい材質の物にし、会場の雰囲気 プロのMCにお願いする 等
・遠隔地の人への対応
→ 抽選で漏れた人や、遠隔地の人達も参加できる仕組み作り
→ 遠隔地の人が (ついったー経由で)解かないといけない問題
ゲーム参加者が困っている時に、ついったーでヒントを送れるように
Ustreamや ネットラジオ
→ しかし、当日は 実際の参加者達のフォローだけで一杯になり
十分な対応ができなかった
・ストーリー性
物語の中に居るキャラクターが このイベントを開いた と言う構造
ゲームを進むにつれ、イベントを開催した 真の目的が明らかになっていく
オープニングイベントなどで、MCが 過去のシナリオを語る
ついったー上で、架空の参加者を用意
謎解きキーワードを 過去を匂わせる
クリア後 イベントの真の目的を語る
→ 半日のイベントで、いろいろ詰め込み過ぎた
→ 当日のプレイヤーは、謎解きに精いっぱい
シナリオまで 気を回しきれなかった!
・ARGのツールとして、ついったー
→ 利点は・・・
参加者同士の情報交換
BOTを使った謎解き
架空のキャラクターをタイムラインに
ツイットをヒントに、追いかけっこ
Ustreamを利用して 実況中継
→ ついったーを ここまで活用したゲームは珍しいと思う
→ が、全面的に使い過ぎて トラブルも
(BOTのサーバーが不調になった、テストプレイで使った書き込みが消えてくれなかった)
→ ついったーのハッシュタグが流れ過ぎて、必要な情報を得づらかった
ARGツールとして 新しい切り口に感じられた!
・参加者の感想
→ 良かった点
みんなと協力できた
追いかけっこが面白かった
ついったー連動が面白かった
→ 悪かった点
ロッカー探しが 大変すぎた
ヒントがもっと欲しかった
ユーストリームが見れなかった
ストーリーを把握しきれなかった
時間がオーバーめに
歩き回ったので、疲れた
・反省点
準備 当日までぐだぐだだった
(特に シナリオは、当日の朝まで 書き直していた)
半日イベントなのに、ストーリー詰め込み過ぎ
時間が かかり過ぎた
遠隔地の人達が 追い切れなかった
ついったーや ネットインフラに頼りすぎた
(トラブルがあった時が 危険)
・けれども…
基本的には、楽しんでもらえた!
・今後の課題
スタッフの善意の参加で できたから良かったけれども
→ 最終的に 30人くらいが参加した
→ 人件費を考えると 100万円以上かかるハズ (300万円いくかも?)
ゲーム業界の人間は、他業界とのパイプが細すぎる
→ ARGをするためには、ゲーム業界以外の人脈が 大事
(商店街や、観光協会、普通の企業 など いろいろな提案先が考えられる)
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●まとめ
・アドバイス
まずは、やってみよう!
欲張らないで、できる範囲で
自分たちの強みを活かそう
今後のために、情報公開・交流を
ついったー
http://twitter.com/seki_seki_seki
連絡先は
sekisekiseki(あっと)gmail.com