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2013年8月22日 にあった、CEDECの講演についての記事です。
ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社 代表取締役
森下 一喜氏の基調講演です。
「開発讃歌」
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●はじめに
・ゲームを大ヒットさせる方程式?
→ そんなものは ない
ガンホーは 皆様が驚くような 面白く、楽しいゲームを作る事を心がけている。
・ゲーム開発とは
アイデアを注ぎ、素晴らしい仲間と共に、お金を使い、面白いゲームを作ること
以下、森下氏の ゲーム開発に関する考え方のいくつか です。
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●企画
・面白くない企画は あってはならない
・新しいゲームアイデアを考える時は、
誰にも邪魔されず、自由で、天の邪鬼でないと ダメだ。
→ 天の邪鬼 ・・・ 人がやっているのと 同じ事をしたくない。
できるだけ、斜め上の事をする。
まずは 遊びの核の部分の 直感的な面白さ を考え出す
(説明せずに 面白さが伝わるような)
→ 直感的な面白さ は、中毒になる
分析 周囲に流されない
・新作を考える行いは、開発者に与えられた最大の楽しみ
ガンホーの来年の事業計画には 新作の予定は全くない
= これから、これだけのゲームを作らないといけない! と言う強制がない
→ 「これは面白そう!」「作りたい!」と言う ゲームアイデアを思いついた場合
常に予算外で作り始める。
→ 事業計画の上で ゲームを作っていくのではなく
作りたい! と言う欲求でゲームは作り始めるようにしています。
プランナーだけが企画するものではない
→ 新作を考える事は 一番楽しくワクワクするもの
みんなで考えよう
常に考える癖を身につける必要がある。
→ 新作のアイデアなんて 簡単に出てくるようなものではない
他の人が考えてくれる と言う考え方もいけない
→ 考えたアイデアは 今 役に立たなかったとしても いつか使える日が来るかも知れない
→ 毎日毎日 考えるようにすると、自然に癖が身につくようになる。
ゲームがどうなるのか 成功のストーリー(妄想)を描く
・秘訣は パズドラに縛られない事
パズドラの事を忘れて、自分たちが作りたい物を作ればいい
→ 無意識の内に、成功体験にとらわれてしまう
「パズドラだと ここはこうじゃないですか」
(森下社長自身も 会議中に 思わず言ってしまって 後で反省する と言うのが良くある)
→ 成功体験 = 盲目的な思い込み になる危険性
・破壊と創造
革新的なゲームデザインを生み出すには、
パズドラフォーマットをぶち壊すくらいの考え方でなければならない
→ 実際、パズドラを作るときは いわゆる ソーシャルカードゲームが乱立している時で
その市場をぶち壊してやろう と考えていた。
→→ 必ずしも そうする事で成功するとは限らない
(早すぎる事もある) (それで失敗した事もよくあった)
・ブラウザ? ネイティブ? そんな事、知った事ではない
ネイティブアプリが時代の流行りになりそうだったから
パズドラをネイティブアプリにしたわけではない
こっちの方が面白いから
→ ゲームの触感を最大限に活かすためには ネイティブアプリしか無かった。
→ パズドラが ネイティブアプリ と言う物に分類されているんだ
と言う事自体 (ネイティブアプリと言う言葉自体) 最近知ったほど
・波は乗るものではなく、起こす物
作りたいものに応じて考えればいい
→ 波と言う物は 本来、一番最初に乗った人しか乗れない
後から みんな来て殺到して 食い合う事になる。
→→ それだったら、波を自分で起こすのが良いかな
・この世に無駄な企画なんかはない
開発中止になった 制作途中のソースや、ボツになった企画書は 宝の山
→ その時は それ以上アイデアが進まなかったとしても
いずれは思いつくかも
今 作っているゲームに、そのアイデアが組み合わせられるかも
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●開発
・核となる遊びと ゲームサイクルとの繋がりだけは 大切にしないといけない
→ ゲームリソースの追加だけを考える事はいけない
(油断すると、こればかりしてしまう)
→ ゲームリソースばかりを追加していくと、ゲームサイクルにヒビが入ってしまう恐れがある
・継続的にプレイを促進する エコシステムを作り上げる
・修練度と偶発性のバランス
→ ゲームの上達 + 運
・ミクロではなく マクロに
→ リソースを追加するのは良いけど、それが全てに対してどう影響するか?
ゲームシステム全体を常に俯瞰する。
・開発者なら ゲームの最終イメージくらい 頭に入れておくべき
ゲームプレイングのイメージを脳内ビジュアルでとらえる
プロトタイプとは 開発チームの全てのメンバーが ゲームの最終形のイメージを共有する必要がある
・気になる と言うことは、納得がいっていない という事
気になることを放置したままにするのは 罪悪
気になる箇所を放置しない
政治的理由で妥協しない (これをやるには スケジュールが~)(予算が~)
誰かがやってくれるとは思わない
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●運営
・面白いゲームを作る事が第一
遠回りだけれども、日々の運営より他にない
今の時代、開発と 運営はセットです。
(ラグナロクオンラインは これで苦労した・・・ 苦しみと悔しさ)
→ もし、開発と運営が離れている場合
何かイベント行いたい、何か修正したい と言う事があっても すぐに対応される事が少ない
面白いゲームは当たり前。
その上で、ちゃんと 運営しないと どんな面白いゲームでも ユーザーは離れてしまう。
サービスインがゴールではない
アクティブユーザー数が最重要
・向かい風は 追い風になる
トラブルはチャンス
告知は早く、こまめに
→ トラブルに直面しているユーザーは ストレスがMAX
そこに 「今 調査中です、」「いついつに対応されます」とアナウンスがあるだけで
安心感が全然違う
迷った時は 正しいと思うことをする
失敗は明日の糧
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●経験
・失敗から学んだ 勘という物がある。
この10年、ガンホーは 失敗ばかりしてきた。
→ 誰も踏み込んだ事のない 前例の無い道だったけど
だからこそ、得られる勘ができた。
→→ 多くの失敗と ほんの少しの成功で 磨かれる勘を 養うことが大事
→→ パズドラも 一夜にして できた事ではない。
・ガンホーは たまに勝つ
たまに成功した時は、「運が良かった」 と思うようにしている。
→ タイミングも 極めて重要
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最後に
市場だけが大きくなっても ゲーム業界は変わらない
開発者が学び、ゲームを育てる力を養ってこそ
十年、百年後 この業界は 良くなる。
ゲーム業界が 更に発展するにあ、一人一人の志が重要
誰にでも ヒット作を作れるチャンスがある。
→ できるかどうか? は、意識の問題
「つまらなかったら 作り直す
ちゃぶだい返しだ!!」
2013年8月21日 にあった、CEDECの講演についての記事です。
「日本人のための MMORPGの開発」 ~「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」の挑戦~
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●ドラゴンクエストの挑戦
ドラクエは 8以降、毎作 新しい挑戦をしてきた。
ドラクエ8 ・・・ 初のフル3Dでのドラクエ世界を表現
ドラクエ9 ・・・ 初の携帯ゲーム機での ドラクエの本編
(どこに どれくらいの力点を置けば良いか かなり悩んだ)
ドラクエ10 ・・・ 初の MMORPGへの挑戦
●この講演の主題
なぜ 「ドラゴンクエスト」は挑戦するのか?
(別に 挑戦しなくてもいいタイトルのに・・・
FFは変わるもの ドラクエは変わらない物・・・ と言う声)
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●ドラクエ10 発表の頃
2011年9月5日
「ドラクエ10」が MMORPGだと発表
→ 当時多かった声
「ナンバリングじゃなかったら良かったのに」
「人に気を使いながら RPGをしたくない」
RPG ≠ MMORPG
と、皆 MMORPGは 全然別のものとして受け止めていた。
→ 「そう言う反応が来るだろうな」
講演者 (ドラクエ10のディレクター)自身も、ドラクエ10の話を聞いた際 同じ反論をした
●ドラクエ10 開発開始の頃
ドラクエ8終了後、ドラクエ10のスタッフに誘われる。
「MMOなんて 遊びたくもない」
「自分が遊びたくないものは 作れない」
「そもそも MMOの知識もないし」
→ と、断った
既に オンラインゲームの経験豊かなスタッフが揃っていたけれども
(「クロスゲート」「FF11」「信長の野望 Internet」)
→ もう、単にオンラインゲームを作っただけでは 普及しない
ちゃんとした ドラゴンクエストのオンラインゲーム出さなければ 日本にMMORPGを普 及させる事はできない
そのために、自分に声がかかったのだ
→→ プロデューサーより
「これなら、自分も遊んでみたいと思うMMOを作って欲しい」と言われ それで決心
ディレクターに就任した。
・MMORPGの2つの問題点
「いいから 遊んでみなよ」と言われ 何度か挫折しつつも、MMORPGを遊んでみた。
→ 確かに 面白い!
けど、そこに到達するまでのハードルが高すぎた。
MMOの世界に潜んでいた 目に見えない”魔物”に気付いた。
→ 「お約束」「セオリー」「常識」
(これらは 主に、MMORPGのコアゲーマーが突き詰めてきた効率良い手法 など
先鋭化されたもの)
(実際、ドラクエ10開発中も スタッフに良くこう言われた
「MMOでは これが常識なんですよ」「これが正しいのはMMOの歴史が証明しています」)
→ まだまだ新しいことができるジャンルなのに
この”魔物”たちによって ゲームの初心者の参入に遮られいる と感じた。
・ディレクターに就任し、最初に決めたこと
「このゲームで、MMORPGと言うジャンルを 日本でメジャーにしよう」
(ドラゴンクエストで 達成できなければ 日本でMMORPGをメジャーにする事はできない
と言うくらいの決意を持って臨んだ)
→ 1986年に「ドラゴンクエスト1」が RPGと言うジャンルを 日本でメジャーにしたのと同じように
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●ドラゴンクエストの開発コンセプト
・ドラクエ10発表後に ”遊ばない理由”として よく聞いた言葉
「Wiiが 無いんだよね・・・」
→ 対応策: プレイヤーがより触れやすい環境の提供
(Windows版の発売予定)
「月額課金がなぁ・・・」
→ 対応策: 「定額」&「割安」の料金設定 月額1000円 (他タイトルは1200円~2000円)
「キッズタイム」の導入 (平日 16時~18時、休日 13時~18時 無料)
「私は オンラインゲームはやらないんです」
→ ここに注目
「なんだか難しそう、めんどくさそう」
「人と一緒に遊びたくない」
「ゲームを止められなくなる恐怖」
→→ MMORPGに対する 世間の悪印象そのもの
→→→ この心理的障害を取り除かない限り、国民的MMORPGを作るのは不可能だと考えた
・考えた対策
「難しそう、めんどくさそう」
→ いつものドラクエと同じ
「人と一緒に遊びたくない」
→ ひとりでも遊べる
「ゲームをやめられなくなる恐怖」
→ 依存化しないゲームデザイン
これを、ドラクエ10の 開発コンセプトとした
(日本人のための MMORPGはこれだ!)
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●開発コンセプト達成のためのゲームデザイン
・「いつものドラクエと同じ」
・画面上の情報を最低限に
画面は ここまでシンプルに
・コマンドメニューも いつもと同じ
堀井雄二が 「こうしたい」と かなりこだわった所でもある
・バトル中の画面もシンプルに
← プリプロで作った戦闘画面 → 現在の戦闘画面
(こう言う物を 目指して作ろう と作った動画)
プリプロ版は これでもかなり 画面上の情報は最小限にしたつもりだけれども
左上に コマンドメニュー 右下にメッセージがあり
行動待ちまでのタイマーゲージもあったり
最終的には ここまで削ぎ落とした
・エンディングまで遊んで 終わりでいい
一番最初に公開したバージョン(1.0)から 「エンディング」を含む全シナリオを実装
(当たり前と思うかもしれないけれども
少しずつコンテンツを追加していく オンラインゲームでは 珍しい事例)
→ いつもの、一人で遊んで エンディングを見てゲーム終わり でもいい
・「ひとりでも遊べる」
・サポート仲間
→ その時 遊んでいないプレイヤーのキャラを NPCとして
好きな人数仲間として連れて行ける。
・「依存化しないゲームデザイン」
ゲームをしていない間にメリットが生じる仕組み
(堀井雄二も 社会問題にもなっているネット廃人をドラクエで生みたくない
と考えていた。)
→ 自分が遊んでいない時に キャラをサポート仲間として他の人に貸して
経験値やゴールドを稼いでくれる。
→ 遊んでいない時間を 「元気玉」と言うアイテムに交換
(使うと、経験値とゴールドが30分間2倍になるアイテム
ログインしていない時間 22時間毎に1つ入手)
遊ぶことが”義務化”しないゲームに
→ レベル差がついても 一緒に遊べる仕組み
(敵の経験値を レベルに応じた比率で分配する。
レベルが高いプレイヤーの方が 得られる経験値は高めになって
レベルが低いプレイヤーは損になるけど、一緒に遊べなくはない)
(良くあるMMORPGの場合 敵と自分のレベルの相対差から
得られる経験値が増える手法)
→ 毎日遊ぶことで 何か倍率が上がるような仕組みは 導入しない
(ソーシャルゲームで良くある 連続ログインする度に より良い物がもらえる とか)
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●オンラインゲームの楽しさをちゃんと入れる
上の話は、これらは 懸念点に対して対策をうっただけ
そもそも、どうやって面白くしていこうか?
・自キャラが 人間以外の種族
→ え? これって ドラクエ??
プレイヤーが人間 と言うのが、ドラクエらしさでは?
→→ 堀井雄二の 強い意向
→→ プレイヤーは 「人間」と「他種族」 両方の姿を持ち
ストーリー的に深く関わっており
好きに姿を変える事ができる と言う設定にした
・バトルがリアルタイム進行
→ え? これって ドラクエ??
→→ 堀井雄二の 強い意向
→→ 起きていることが 見た目で把握できるバトル
(テキストを見ないと把握できないバトルには決してしない)
→→ 移動干渉バトル
(キャラクターが モンスターを押すことができる。
モンスターを押して、他の仲間に攻撃をいかせないようにするシステム)
・人とのコミュニケーションの楽しさ
→ キーボードなしでも コミュニケーションできる配慮
→→ 「おうえん」や「ジャンプ」で 気軽なコミュニケーション
「よく使うセリフ」は コマンドから呼び出し
→→ チャットは 「安心・安全」に徹底的にこだわる
相互認証がない状態での 1対1のチャット禁止
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●従来のオンラインゲームを超えるための さらなる「あそびやすさ」の追求
・一緒に遊ぶ機会を失わせない配慮
サーバー移動は自由
→ サーバー違いによって 友達と遊べない と言う事をやりたくない
(プロデューサーが 一番やりたいと思っていた仕様)
・世界はひとつ! 別サーバーにいても 一緒に遊べる!
→ 別サーバーのプレイヤーと パーティーであり続けたり、チャットすることもできる
→→ これ、技術的に かなり頑張っています。
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●ドラクエ10 発売後の話
2012年8月2日 発売
「思った以上に ドラクエだった!」
「ちゃんと一人で遊べる!」
「社会人だけど 楽しめる」
・運営の話
最初に起きた問題
→ 想定を越えるプレイヤー数に溢れ出した技術的問題
→→ 連日の緊急メンテ
サーバー 逐次増強
プレイヤーと一緒に世界を作っていく という事
→ モンスターの狩場が集中しすぎるという問題が発生
(ていあんひろば で、大きく問題視されていた問題)
→ モンスターの経験値データ見直し
強敵ボーナスの導入
同じ敵を100匹倒すと ちいさなメダル プレゼント (倒したいモンスターを循環させる)
これにより、狩場の分散に成功
とは言え、現実的に解決できる問題は とても少ないです・・・
(提案してもらっても 技術的に難しかったり、開発側の考えている方向性と違っていたり)
・運営 失敗の事例
”名声値”の問題
想定を超える”名声値”を得られる状態になっていた
→ 得られる”名声値”を本来の仕様に修正
→ 既に”名声値”を得たプレイヤーのデータは マイナス修正しなかった
→→ プレイヤーの非難が殺到
(そう考えた理由としては・・・
”名声値” のゲームに与えられる影響度は 小さい事
後から ゆっくりと帳尻合わせの調整を入れて 生まれた差を埋める予定でいた)
・殺到した非難を受けて対応策
”名声値”を 不具合な状態に戻し、全てのプレイヤーが等しく”名声値”を得られる状態にした
→ ”名声値”を多く得て 得したプレイヤーの数値を基準に 全プレイヤーの”名声値”を付け直した
→→ 謝罪・不具合に至った経緯の説明
将来的に 名声値をどうして行くか? のプランをちゃんと説明
・失敗から学んだこと
根底にあったものは・・・
→ 情報不足からくる プレイヤーの「不安」
→ 「情報公開」にかける労力が十分でなかった
(名声値が ゲームに影響少ないのは 開発者だから 知っている事だった)
→ 「情報公開」の”機会”と”質”を改善
中・長期的な展望の公開
定期的に 開発側のメッセージの配信
仕様の変更に対しては、ディレクターコメントとして ちゃんと理解をしてもらう。
●そして、サービス開始から1年が過ぎ・・・
毎日 25万 ~ 30万人のプレイヤーが 遊んでいます。
ドラクエが好きな人のテーマパークにしたい と思い、始めた開発であったけど
それに近づいてきたかな
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●まとめ
・なぜ挑戦するのか?
「ゲーム」は形式美を尊重する古典芸能ではない。
時代に合わせて 新しい事に挑戦し続けなければ
たとえ「ドラゴンクエスト」と言えども 消えてしまっていくのでは
・新しい事をするのは 大変です。
ネットで叩かれたり、挑戦する事自体 笑われたり。
そんな目に 何度も合ってきました。
ドラクエ10発表時 桜井 政博氏のコメント
オンラインと聞いて、従来型の「ドラクエ」の方がいい、と言う人は少なくないかもしれません。
しかし、進歩や変化や突然変異に寛容な、あるいは それを当然とみなすゲーム業界でないと
同じ場所で足踏みするばかりで困ってしまいます。
・自分が面白い と思った物を作ろう
市場を読んで作るのではなく、自分が本当に面白い と思う物を作るべき
「FF7」は 世界の市場を読んで作ったものではなく、
当時のスタッフが 本当に面白いと信じて作った物を 世界が受け入れ 世界中の大ヒットとなった。
→ 市場は 思った以上に 新しい挑戦や 新しい面白さに 寛容なハズだ
→→ 自分自身の面白い を信じて、”新しいこと”を やろう
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4年前に 「ドラゴンクエスト9」の発売直後
堀井雄二による 講演がありました。
合わせて見てもらうと良いかも知れません
http://sekigames.gg-blog.com/Entry/94/
2013年8月22日 にあった、CEDECの講演についての記事です。
「すごろくで体感!
もう一度プレイする気にさせる『バランスブレイカー』というゲームシステム」
この講演は CEDECでは珍しく ワークショップ形式でした。
参加者は その場で5人の班分けされ、実際にすごろくを作成、遊ぶ事で
本講演の「バランスブレイカー」について 実際に体験しよう
と言う試みです。
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次のような盤面が用意されています。
プレイヤーはサイコロを振り 駒を進め
1周回り、スタート地点を通る度に 1ポイント入手
先に、3ポイント入手したプレイヤーが勝利
ここで、まずは 皆 思い思いに各マスにイベントを書き込み
実際に遊んでみよう!
が、第一の課題です。
各マスには 次のようなイベントが書き込まれました。
「もう一度 サイコロを降り その分 進む」
「1マス 進む」
「5マス 戻る」
「1回休み」
「1ポイント入手」
「1ポイント失う」
※ なぜ、すごろくか と言うと
偶発性のあるゲームの方が、初心者向き
サイコロのような物を使わないようなゲームだと、頭の良い人が 必ず勝ってしまう
→ 負けたプレイヤーは もう一度遊ぼう とならない
※ ここで、何ポイント獲得したプレイヤーが勝利する
と言う形式は バーストと呼ばれる手法
→ 勝っている人に 勝たせすぎない
(徹底的に勝たせてしまうと 勝っているプレイヤーは満足してしまう。
= モチベーションが消える)
→ バーストして勝たせた場合、
勝って嬉しいのだけれども サクっと終わってしまい 欲求不満が残る
= 「勝ってしまったけど、これでいいの?」
「もう一回 勝負しようよ」
に、なりやすい
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実際、このすごろくは どうだったか?
ゲームが長くなり、ダレてしまった
→ ゲーム時間が長いと 人はもう一度遊ぼう と言うモチベーションは無くなる。
「1回休み」
「何マス戻る」
→ これらのイベントが発生してしまうと 不毛感を覚える
→ 不快であり、かつ ゲームを長くしてしまう要素
→ これらは 排除すべき
例えば、
「1ポイント失う」 と 「自分以外全員が1ポイント得る」
と言うイベントは、相対的には 同じ事だが、ゲームに与える影響が全然違う
= プラスに変える
→ 他の誰かのプレイヤーのポイントが減った所で あまり興味わかないが
自分のポイントが増える場合 興味がある
= 他のプレイヤーのターンでも、ゲームに対する興味が持続する。
→ マイナスのイベントを 全てプラスに置き換え
プラスゲームのすごろくを作って遊んでみよう
が、第二の課題
「マイナスポイント」 → 「自分以外全員が プラスポイント」
「何マス戻る」 → 「自分以外全員が 何マス進む」
と置き換えたすごろくを作成
→→ ダレるような展開がなくなり、さくっとゲームが終了するように
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・バランスを整えるのは良くない
逆転の要素として
「最下位のプレイヤーは 何かを得るイベント」
「一番進んでいるプレイヤーに 追いつけるイベント」
→ これらは バランスを整えている要素
→→ 逆転の要素って 面白い??
→ 時間がよりかかり、面白くない上に、それを繰り返していく内に プレイヤーは疲れてしまう。
シーソーゲームは、とても疲労するため 「もう一回やりましょう」 にならない。
※「誰かから ポイントを奪う」
「誰かに ポイントを渡す」 は、悪いイベントの例
→ 必ず、ポイントの多いプレイヤーから ポイントを奪い
ポイントの低いプレイヤーに ポイントを渡す
これは、ゲームを完全にバランス取ってしまう要素
・バランスブレイカーを入れてみよう
バランスを取って、ゲーム性を高く整えよう ではなく、
何かのイベントで 誰かが有利になったのなら、そのまま一気に突き抜けさせて ゲームが終わるようなゲームにしよう
→ バランスを ちゃんと取ったシーソーゲームより
「もう一回遊びましょう」 と言う気持ちに 遥かになりやすくなる。
→→ バランスブレイクで勝った場合
勝った人はもちろん嬉しいけど、負けた人も そんなに悔しくない
これも 「もう一回 遊ぼう」 になりやすい
バランスブレイクの例)
「このマスに止まったとき、サイコロを振り 1が出たなら あなたの勝ち」
→ これくらい バランスが壊れていても 実は面白い
「他のプレイヤー全員から ポイントを奪う」
のような、富を集中させるようなバランスブレイクも有り
・まとめ
バカゲーに近い状態にはなりましたが、これはこれで 面白い
と言う感じになりました
理屈では ありえないな と思っていた物でも、実際 遊んでみると面白い場合がある
→ こういう事は ゲーム開発では ちょくちょくある
あっという間にカタが付いた方が、もう一度遊ぼう と言う気になる。
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と、内容はこのような感じでしたが ワークショップ形式であり 始終わいわい 楽しい感じでした。
実際に、この流れを参考に 5人ほど集めて すごろくを作ってみて体験するのも 良いかも知れませんね。
バランスブレイクしているからこそ 面白いゲーム
アナログゲームで挙げるなら
「イノベーション」
「コズミックエンカウンター」
「リトルバスターズ どたばたランキングバトル」
あたりでしょうか?
どれも、プレイ時間 そんなに短くないけど
これらのゲームは 個人的には、勝敗関係なしに 何度も遊びたくなるゲームですね。
2013年8月23日 にあった、CEDECの講演についての記事です。
「コンソールゲーム開発者が、ソーシャルゲーム初開発でWWタイトルを成功させた本当の理由
Blood Brothers の挑戦。そしてBlood Battalion の作戦」
講演者は
株式会社ディー・エヌ・エーの プロデューサー と、ゲームコンセプトデザイナーの方
共に 元々は スクウェア・エニックス と言うコンシューマーゲーム業界で 3D満載の高級なゲームを制作され
2年前に ディー・エヌ・エーへ転職された方
そのような方々が作ったソーシャルゲームとは?
ゲームコンセプトデザイナー とは
ゲーム性、世界観、グラフィック、シナリオ、サウンドと ゲーム全般に関わり
ゼロから ゲームリリースまで そのタイトルと関わる。
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●Blood Brothers とは?
北米市場における オリジナルIPの確立を目指して 制作
(当初、DeNaは 北米市場にて いろいろなタイトルを投入したけれども 苦戦していた。)
ダークファンタジーRPG
制作準備期間 1ヶ月 、トータル 4ヶ月
・コンセプト 重厚な世界観
シンプルな操作性
決断を楽しく (シナリオ分岐や、仲間の選択)
世界33ヵ国で 売上1位
1500万ダウンロード
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●Blood Brothers での試み
・スタッフィングに 手段を選ばなかった
「Blood Brothers」の成功は なにより、スタッフィングに成功したため
ゲームを作るのは 人である。
・XELFLEX
キャラクターのメインイラストレーター
当時、新入社員だった頃
「何の約束もできないけれども、一緒にゲームを作らないか?」 と声をかけた (会社に許可も得ず)
→ 大量のイラストを描いてきてくれた
→ 独特なタッチのダークテイストな絵が 海外のユーザーに好評を博した
・鍛冶屋プロダクション
海外へ向けてのゲームの出来は、ローカライズの品質が直結する。
信頼のできる外注にお願いできた。
他にも BGM、SE も 有名なコンシューマータイトルでも活躍している 外注会社にお願いできた。
・定説はまず疑え
コンシューマーゲーム業界では 定説、タブー、王道 と言う物が多かった。
もちろん、どれも 一理あるのだけれども 自分たちを縛る要因にもなっていた。
(何かしようとすると、「それは違うよ」と言われる)
このような定説があるのは コンシューマー業界だけか と思いきや
歴史の浅い ソーシャルゲーム業界でも、既に 定説が出来上がっていた。
(ヒットのための方程式。
ソーシャルゲーム とは、こうあるべき)
(海外市場へ向けての戦略でも 調査でこう言う意見が出たから
と怪しい仮説が 定説になりつつあった)
→ ソーシャルゲームの定説の反証を試みた
「ゲームは一本道が良い」
→ 自分が選んだ主人公や行動は 愛着が湧いたり、感情移入できるのでは?
「他のゲームと UIを共通化して、ユーザーのストレスを無くすべき」
→ 作品独自のUIにする事で、差別化できるのでは?
「海外でヒットしているゲームは リアルかポップな絵ばかりだ」
→ 海外では古くから 「ウォーハンマー」のような デフォルメされたミニチュアゲームが遊ばれていて
受け入れられる土壌はあるのでは?
「セリフの多いゲーム、設定が濃いゲームは敬遠される」
→ 初めから 情報量が多ければ ユーザーはついていけなくなるけど
セリフ・設定がしっかりしていると そのゲームが奥深くなる
→→ 情報の出し方に気を付けるなら、セリフ・設定の多さを否定しなくても良いのでは?
「Blood Brothers」では、これらの反証を全て入れてみた。
結果、「Blood Brothers」は 間違いなくDeNaの内製ゲームでありながら らしくない点もいろいろある
ハイブリットなゲームになった。
ソーシャルゲームの優れた点を真摯に学びつつも
海外向け コンソールゲーム制作の経験を活かした。
・クールジャパンは 通じない
やはり海外は 日本の趣向と違いがある。
例えば 主人公キャラクターの人気投票をした場合
1位 鎧を着たリザードマン (下の 左から2つ目)
2位 白銀の立派な騎士 (上の 左から1つ目)
3位 筋肉ゴリラ (下の 左から1つ目)
4位 サムライ (上の 左から3つ目)
と言う結果に
日本で人気が出たであろう 銀髪の可愛い女の子キャラ(上の 左から2つ目)は 6位
リザードマンや ゴリラ のキャラを主人公キャラとして 提示した時
社内から 大きな反発があった。
(誰も そんなキャラクター 選ばないよ)
→ しかし、主人公キャラの設定は アメコミを徹底的に分析
(アメコミには このようなキャラが 大抵含まれていて 親しまれている)
→→ 結果、狙った通りの結果になった。
海外向けのゲームを作るときは、海外のサブカルチャーを愛すること
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●Blood Battalion について
短期で 新作投入による 新作RPGの定着を目指して制作
略称が BB と、前作と同じものにするタイトルを選んだ
タクティカルRPG
制作準備2ヶ月、 トータル 5ヶ月
オセアニア向けにリリース
・コンセプト サクサク戦略、戦術
ワクワク対戦、大戦
ゾクゾク物語、決断
好調リリース中
・ハイドラサービス (造語)
ハイドラ ・・・ 頭は多くあるけど、体は一つだけのドラゴン
IPの垂直立ち上げのために取った戦略
→ 同じ世界観と 舞台を共通しつつ、複数のゲームを同時に運営する
・「Blood Brothers」が絶賛運営中な中、同じ世界観の続編を続けてリリース
Blood Brothers ・・・ 帝国の崩壊を描く物語
Blood Battalion ・・・ 100年前、帝国の勃興を描く物語
両方のゲームを遊ぶと、巨大なコンテンツになる。
→ 開発期間が長く、運営で ゲームが長く続く ソーシャルゲームだからこそ取れる手法
・慣れと 飽きの狭間
新作を出す時に ユーザーの声
「今までの馴染んだ遊びがいい。 冒険をして、違うものにして欲しくない」 (慣れ)
↑
↓
「散々 前作は遊んだので、次回作は あっと驚かせて欲しい」 (希望)
どうしたか?
Blood Brothers ・・・ RPG的バトル
Blood Battalion ・・・ SLG的バトル
と、戦闘の部分は 大きく変えつつも
それ以外の部分 (イベント、スキル、主人公、操作感)は 意識的に同じような物にした。
→ 新鮮さと 安心感の両立
(+ 開発コストを安くする)
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●まとめ
・盛者必衰
市場の変化は 更に加速している。
蓄積された定説、成功パターンは 古くなっている? そのまま信じ続けるのは危険
定説は 尊重しつつも、疑い 自分で仮説を立てて検証してみよう
・温故知新
市場に流されない
最新の流行りを追いかけるのは重要だけれども、
現在の流行りを見ながら、未来を予測するのは危険
→ 既に成熟して食い合っている市場に投入されるだけ
未開拓・新しい市場を作り出さないといけない
→ 古いゲームや、アナログゲーム、ゲーム化されていない面白い物 などにも目を向けてみよう
・愛化主義
「愛されたいゲーム」を目指すな
(より幅広い層に向けてゲームを作ると 特徴のない のっぺりとした物になる
マスに受けたい と言う幻想は捨てるべき)
「愛すべきゲーム」を目指そう
(狭い 代わりに、コアなファンが付いて応援してくれる)
2013年8月22日 にあった、CEDECの講演についての記事です。
「ナラティブ」はここにある! 国産ゲームに見るナラティブとは?
ナラティブ?
始めて聞くような言葉でしたが それについての紹介についての講演です。
※ 講演を受けてのレポートではありますが
始めて聞く概念でしたので 一部、取り違えている物があるかも知れません
ご注意ください
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●ナラティブ とは?
辞書によると 「物語」
ストーリーも 「物語」 その差とは?
前回のGDCで ブームだったワード
シナリオを表彰する賞でも
「ベストライティング・アワード」 から 「ベストナラティブ・アワード」 に変わった
ナラティブサミット が開かれた。
マイクロソフトには ”ナラティブデザイナー”と言う 専用の役職が用意されて 取り組まれている。
あまり 日本では聞き覚えのない 「ナラティブ」と言う言葉
一体 何なのか?
→ 実は、今まででも 日本は ナラティブは使ってきました。
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●ナラティブなゲームの例
・風の旅ビト
文字やセリフの無いゲーム
にも関わらず、プレイヤーは 遊んだ後、とてつもなく長い旅をした気持ちになれる。
→ 〇 ナラティブ
・FASTER THAN LIGHT
海外のインディーズゲーム
特に、前回のGDCでは 多くの話題になった
宇宙船で冒険をするゲームで、ランダムで様々なイベントが発生する
(敵の宇宙船に遭遇して襲われる、難破船を救助して 仲間に加える、
仲間が 襲ってきた宇宙船と 白兵戦をした後 壮絶に相打ちする)
その人 ならではの ランダムだからこその濃密な体験ができる。
→ 〇 ナラティブ
・風来のシレン
どんな敵が現れるか?
どんなアイテムを拾えれるか?
ゲームデザイナーによって、コントロールされたランダムではあるけれども
人によって体験が違い、人それぞれの思い入れを生んでいる。
→ 〇 ナラティブ
・初期のドラクエ
決して ”次に何をしろ” と言う答えを、直接言わない
(一本道RPG)
「次の大陸に行きたければ、橋を渡らないといけないのだが 橋は壊れていて
東の洞窟から帰ってこない大工を助けてこないといけない」
↑
↓
(ドラクエ)
「隣に大陸があるよ」
「橋があるけど、壊れてしまっているよ」
「東に洞窟があるよ」
「最近、大工が行方不明なんだ」
別々に情報を与えてくる
→ プレイヤーが 自分で情報を処理して、自分でどうするか考え解決する
ドラクエ1の 虹のしずくを手に入れる過程でも
「太陽の石」「雨雲の杖」「ロトのしるし」を どんな順番で手に入れても良い
やる事は一緒なのだけれども、自由に選べる と言うところが
人から押しつけではなくj、自分の意思で選択して解決した と感じられる。
これは ドラクエのお得意の手法であるが
海外では ナラティブを考えるための方法論として 「メルセデスメソッド」として命名された。
(日本人にとっては、当たり前すぎて わざわざ名付けるほどの物と思っていなかった所
先に名前を付けられた)
→ 〇 ナラティブ
・パックマン
・スペースインベーダー
・ギャラクシアン
何の設定もない (情報として与えられていない)
さすがに、ここからは 自分の体験として受け止めるのは難しい
→ × ナラティブ
・ゼビウス
バックストーリーの存在
背景から感じ取れる物語性 (地上絵とか)
上の3つに比べ、より ナラティブになった
→ △ ナラティブ
・格闘ゲーム
プレイヤーが 格闘ゲームのキャラクター そのものに なりきって戦っているわけではないので
ナラティブではない。
→ × ナラティブ
・ファイナルファンタジー
深い物語、重厚な設定
しかし、キャラクターの活躍を 自分自身の活躍かのように体験する事はできない
キャラクターの感情が豊か。
重要なイベントで 様々な判断が行われるけれども
自分の判断ではなく、キャラクターの判断。 自分だったら、このシーンは こうするよね
と言う考えが出てしまう。
この手法は とてもカッコ良かったりするのだけれども、ナラティブな体験かと言うと 違う
→ × ナラティブ
・オホーツクに消ゆ
選択肢を選ぶ、情報を集めつつ 謎を推理して事件を解決していく
情報を得て、自分の判断で先に進めていくので 物語の展開に納得がいく
→ 〇 ナラティブ
・街
様々な視点から謎を追いかけ ザッピングし
違う視点から謎を見ることで 解決していく
プレイヤー自身が考え、選択肢を選んでいくのだけれども ナラティブとは 違う
プレイヤーの立ち位置はは あくまで読み手だと考えて
登場人物として 物語の中に入っているのではない
→ × ナラティブ
・オープンワールド
物語と全然関係ないところでも、ゲームは動いていて
思った事ができる。
→ 〇 ナラティブ
・GTA
とても自由度の高い オープンワールドゲームで、とても ナラティブでは? と思うけれども
ほとんどのプレイヤーは、このゲームを ストーリーそっちのけで
好きなだけ 車をぶっ飛ばしたり、銀行強盗したり、通行人を撃ち殺したりして 楽しむ
と言ったプレイの印象の方が 物語を楽しんだ と言う思い出より勝ってしまう
自由度が物語性を遥かに上回ってしまい
この世界のキャラクターになりきって体験する と言うよりは、プレイヤーとして 好き勝手するのが楽しいゲーム
→ △ ナラティブ
・ダークソウル
死んでもゲームが続く と言う事が、ゲーム的に 納得のいく説明をされている。
その中で、何度も何度もゲームオーバーを繰り返しながら挑戦し続ける
と言う ゲーム内の主人公の苦労の様子が プレイヤー自身の感情と一致している。
→ 〇 ナラティブ
・ワンダと巨像
ダークソウル以上に 提示されている情報が少ない
(主人公 何者? 救おうとしている女性 誰? 巨像って何?)
想像の余地が多分にあり、その想像を裏切られない (裏切るほどの情報もない)
その上で 巨大な敵と戦う感情が一致できる。
→ 〇 ナラティブ
・ポケモン
子供たちの多くは 自分がポケモントレーナーになったつもりで 遊んでいる人が多いと思われる。
これは ナラティブ。
逆に、対戦主体で ポケモンを育てているプレイヤーにとっては ナラティブではない。
多くのプレイヤーに対して、様々な角度で楽しめるようにしているのが ポケモンの凄い所
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●つまり ナラティブとは?
物語は あった方が良いけど、ありすぎなくても良い
キャラクターの気持ちと、プレイヤー自身の気持ちが一致できた場合 ナラティブ
「Thomas Was Alone」
海外のインディーのアクションゲーム
主人公は 上の通り 四角い長方形
しかし、ゲームを進めていく内に プレイヤーは この長方形に人格を感じ
海外では このゲームは ナラティブだ と言われている。
この通り、豪華なリソースを用意しなくても プレイヤーに十分な体験をさせる事ができれば
ナラティブ を作り出すことができる。
海外のインディーゲーム開発者は 今、ナラティブに注目している。
・ストーリーと ナラティブの違い
ストーリー ・・・ 話に 始まりと終わりがあり、目的地と 経由地が設定されている。
誰が遊んでも 同じ
ナラティブ ・・・ 時系列が設定されておらず、自分の経緯や出来事を通じて語る。
そこには 意外性や 偶発性が存在している。
(作り手がそうなるようコントロールしていても良く
受け手が そのように感じられれば良い)
ゲームの体験を 経験にできた場合、それは ナラティブ
・ナラティブ は その人の頭の中にしか 存在しない
・ナラティブ は 結果からしか生まれない
→ 人によって バラバラ
これが理由で、ナラティブはこれだ! と定義しづらい
ナラティブを作るコツ
→ 一本道でも ナラティブには できる。
(答えが一通りでも 「みんな こうするよねー」と言う筋書きにできれば
プレイヤーは 自分の選択、経験として受け止められる)
→ プレイヤーの期待に ちょうど応えられる料の情報を与える。
(リアリティあふれるゲームでは 過大な体験をユーザーは求めるけど
デフォルメされているゲームでは それほど期待していない。
「Thomas Was Alone」が受けたのは そこ。
もし、このゲームが よりリアルなゲームだった場合、ナラティブだとは思われなかったはず)
→ プレイヤーの期待を限定する
(例 戦争をシチュエーションとした場合 プレイヤーの期待は限定される。
戦場でやりたいと思うことは絞られている。
それに応えられる分だけの物を用意すれば 満足してもらえる)
→ ゲームの メカニズムと ストーリー
これらを同時に構築していくと ナラティブを作りやすい。
・日本では 今までも 暗黙の内に、ナラティブを使っていました。
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かなり概念的な話ではありましたね
ちなみに、せっき~自身 ナラティブなゲームって 何だっただろう?
と、思い起こしてみたのですが
始めて遊んだ時の 「大航海時代」とか
初代の「バイオハザード」とかが出てきました。
最近 遊んだゲームの中では 意外と 「覇邪の封印」が ナラティブだった気が・・・
http://sekigames.gg-blog.com/Entry/145/
ついったー
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