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これは、2010年9月11日 に行われたセミナーの記事です。

第7回 IGDA日本 同人・インディーゲーム部会

「同人、商業を通し13作品の制作で学んだゲームの売り方、作り方」


FLAT の方よりの 講演です。
http://flat-software.com/


同人ゲームサークルとしてスタート
2009年に商業に移行した方からのお話です。


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●ゲームを作ろう! と考えた発端

・ノベルゲームを作りたい!

セガサターン 「EVE burst error」に、大変感銘を受ける。

→ 将来、これを超えるものを必ず作る。


→ コンシューマーでゲームを作る?
→→ 自分の好きなものを作るのは 無理だろうなぁ
→→ 自分で なんとかするしかない


PC「AIR」に大感動する。

→ PCノベルゲームは、他のメディア(漫画、映画)にも劣らない物だと認める
→→ コンシューマーと比べると 作りやすいらしい


→ 同人ゲームに挑戦しよう!!



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●同人ゲーム 1作目を作るまで

サークルは 2003年2月 発足


・ゲーム制作については、ド素人でした。

→ しかし、初めから
 「将来 商業になれるような同人ゲームを作ろう」を志にしていた。

→ 「EVE」と「AIR」を超えるゲームを作る事が 目標
 それまでは諦めない




・友人に 一緒に作らないか? と触れまわった。

→ 全滅



・クリエイター達が集まるサイト「同人道」(と言うのが昔あった)
(注: 今 その名前で検索すると、アダルトなサイトに飛ぶみたいです)

→ プログラマ募集、グラフィッカー募集 などを行えるサイト


→ こんな書き込みが
 「パズルゲームのプログラムがあります。
 後、必要なのは 絵や音など 諸々の部分
 それを用意してくれる方を募集


→ ADVを作りたかったが、ADVをいきなり作るのは 敷居が高い
  ADVを作るにしても、実績が無い為 人を集めるのが困難

→ 1作目として、パズルゲームを作成する事にした。




・作るにあたって、その題材


作っても 売れなければ意味がない

→ プレイしてもらってナンボ
  感想貰ってナンボ


→ パズルゲームをどうやって売ろうか?
 (パズルゲームだけを出しても、売れないだろう)


→ パロディ物、成人向けの アドベンチャーが含まれたパズルゲームにしよう。
 (若干 プライドを捨てた)

 あるクオリティのオリジナル作品が 100本売れたとすると・・・

 パロディ物だと、200本売れる
 それが、更に 成人向けだと 400本売れる  と言うデータがあった。




・知らないながらも 体当たりで制作開始

絵や シナリオ、スクリプトを一人で担当

→ さすがに限界
  人を募集しよう (取りあえず お礼として、40万円用意した。)


→ フォントってなんだ? SEってどう用意するんだろう?
 知らない事ばかり、毎日 模索した制作だった。


→ 8ヵ月 ~ 9ヵ月かけて 無事完成

→→ 完成したのは、責任感のお陰
  (スタッフの用意してもらった素材など 無駄にはできない!
  もし、制作失敗したなら 全国回って土下座してくる覚悟を)




・完成しました。 さて、何枚刷るか?

プレスは 1000枚で 40万円 
(500枚でもできるけど、コストが1000枚と ほぼ同じ)

→ もし、500枚刷った場合  単価は1枚 800円

→→ それを1000円で販売した場合、200円しか 利益は無い
  (とらのあな で委託した場合、3割は とらのあな に委託料として払うため
  こちらに入ってくるのは 700円

  → 委託したなら 100円の赤字


→→ 1000枚刷るしか無いのか?



・1000枚するのはあり得ない

途中で思い留まり コピーで 100枚刷る事にした。

→ イベントで販売

→→ 売れたのは 5枚だった・・・

(最終的に 委託で200枚
ダウンロード販売で 100枚 売れました)



・心に誓ったこと

1000枚刷って、1000円で売れる物を作ろう!!

(成功するための 最低ラインである)




・閑話休題

同人には、無償でやってくれる と言う方が意外と多い

→ お礼は良いので、完成品をください と言う要望など

→ 同人ゲームの完成率は 10%
 (90%は、企画倒れ になってしまう)

→→ せっかく素材を作ったのに、そのゲームが完成せずに消えてしまった と言う経験の人も多い


→ 「お金のために 同人をやっているのでは無い
 完成した物が世に出る それが大事」 と言う人が多い




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●2作目以降の話

・DIORAMA-ジオラマ-  (ADV・18禁)

自分の作りたかったADVの第一歩


→ 2000円で販売 、 1000枚刷った

→→ 850枚 の売り上げ (まずます)


→ 価格の設定 2000円台は 厳しい
 (同人は、1000円台の物が多い)


 ムービーは重要である。

→→ ムービーの出来が良いだけで、ユーザーが見てくれる。
   店舗で ムービーを流してくれる。
   ダウンロードサイトさんにムービーを置いてもらえると、2000人ほど サイトを見に来てくれる。




・PHANTASM (横スクロールSTG・全年齢)

ADVを作るのは 2年間と時間がかかり過ぎる

→ 半年 ~ 1年に1本 ゲームを出したい。


→ と作ったが、結果は散々
  450本の売り上げ・・・




・eXceed-イクシード- (縦スクロール弾幕STG・全年齢)

ゲームの内容は 正直微妙な物になってしまった・・・

→ しかし、パッケージのクオリティが とても良かった

→→ 売り上げ 1700本

(内容が微妙でも、パッケージが良かったので 売れた)




・eXceed2nd-VAMPIRE- (縦スクロール弾幕STG・全年齢)

eXceedで貰った意見などを踏まえて クオリティアップを行った eXceedの続編

→ 2300本




・キラークイーン (ADV・18禁)

自分の作りたかったADV 第2作目

→ 代表作になった

→ 初回だけで 4000本 売れた

→→ 勢いが良く 6000本に届きそう! と言う頃に




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●商業へ

・キラークイーンを コンシューマー化しませんか? のオファー

PS2で 発売しませんか?

→ FLATが自由に作ってもらって構わない
 (オファー側からは あれこれ細かい事を言わない)

→ こちらは、そのための出資を行います。
→→ このゲームは面白いので、絶対にウケると思います。


作ることにした。

→ PS2版 10000本売上
  同人の方も、コンシューマー化の話題性のお陰で 17000本売り上げ




・うたてめぐり (ADV・18禁)

大作を狙いすぎた

→ コンセプト、ターゲットユーザーを あやふやにしてしまった。
 (やれば面白い と言うゲームにしたのだが
 やる前に やろうと思わせられない物になってしまった)

→ 失敗だった


声優は とても豪華な方々を使った

→ しかし、企画に魅力がないと いくら声優が良くてもダメだった。





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●まとめ

・これから ゲームを作ろうとしている人へ

まず初めに決めて欲しいのは 高い目標

→ 絶対に 達成させる と言う決意
 (いつか できたら良いなぁ はNG)



・スタッフを集める際のコツ

その人がどれだけ本気か? を重視している。

本気で行動している方々に サークルの仲間になってもらった。
(HPで プロになってやる と言いながら毎日絵をアップしている人 など)

→ 結果、サークルのクオリティがどんどん上がってきた。



・誇りとしている事

今までのプロジェクトで、プロジェクト中 途中で抜けた人が居ない事

→ 相手のやる気 も、そうだけど

→ 自分の本気さを 相手に伝える。
  責任は全て自分にある と言う決意 (責任感
  将来 必ず上にあがる と言う
  みんなで上にあがろう と思える一体感





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●質疑応答 より

・最小ロットは どう考えている。

→ 最低 8000本から




・会社を立ち上げた時の様子

3LDKのマンション1室4人でスタートした。

スタッフは 社員と言う形で入ってもらった。

→ 3人はそこで住んだ。 (一人は通った)

→ 給料はとても安く 手取りで8万円にしてもらった。 (それを2年間

→ それでも、ついてきてくれた

→→ 今では、月数十万 渡せるようになりました。




・立ち上げ時の初期資本は?

同人時代の売り上げ

+ 出資してもらった。
 

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これは、2010年9月11日 に行われたセミナーの記事です。


第7回 IGDA日本 同人・インディーゲーム部会

「インディーズ作品だからこそ出来る事」

とらのあな の方よりの 講演です。

販売の視点から、同人ゲームについて 話してもらいました。


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●とらのあな 取り扱いについて

・10年前 (2000年くらい)

当時、とらのあな では 同人ゲームを取り扱っていませんでした。
(同人誌、書籍がメイン)

→ (同人誌と比べ)そもそも売れない と言う印象を持っていた。

→ 同人ゲームの持ち込みを受けても
 「展開が難しい、置く棚が無い(同人誌の棚を使えない)」と断っていた。



・取り扱い本数

2001年 111本   (月姫 で盛り上がり
2002年 700本   (メルティブラッド
2003年 1400本  (月箱、東方

    ・・・

2009年 1400本


→ 2003年以降 取り扱い本数は大きく変わっていない
 ただ、作品の内容の方向性などが変わってきた




・同人音楽CD について

2001年 0本
2002年 140本
2003年 500本
2004年 870本
2005年 1400本
2006年 2000本

年々 増えてきた

→ 東方音楽 が盛り上がってきたお陰

→ 2008年には 初音ミクブーム


→ 2009年 の取り扱いは、大体 2000本と同じ

→ 一時期の盛り上がりから、落ち着いた感じがある。




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●とらのあな の同人に対する姿勢

・とらのあな の ”同人”の定義

直接流通をしてもらっている物を ”同人”としている。

(もし、メジャーレーベルで販売していても
直接メーカーから とらのあなに卸している場合は、同人として扱う)




・委託タイトル の基準

「幅広く作品を取り扱う」が とらのあな の理念

→ 原則、持ち込まれたタイトルは お断りをしない

→ 持ち込まれた 95%は、取り扱っている
 (例外は 内容的に展開がとても難しいもの金額など 条件で折り合いがつかないもの




・取り扱い本数についての基準

サンプルや、体験版の一部を遊んだ上で 参考に。
(一度に取り扱っているタイトル数は 1500 ~ 2000タイトルなので
全部を見る事ができない。)
(続編ものでは 前作の実績や反響も加味する)


クリエイターより希望販売数を聞いた上で 相談する。





・サークルより持ち込みがあるの物は 完成品である事

「次の夏コミで こんなゲームを出します。
プレスは1週間後です。
それまでに、発注数を決めてもらえないですか?」

と言う話が非常に多い


→ 吟味して数を決定したり、事前にユーザーに告知する と言ったことができない
 のが現状である。



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●作品を紹介するにあたり 注意している事

・とらのあな の、取り扱いの80%は 買い切りではなく 委託である。

→ 売り切らなければ 返品になります。



・以前の失敗 (2004~2005年)

中身を紹介する手段を うまく持てなかった。
(大型店以外では 店舗スペースも広くなかったため
デモを流したり、試聴機を置いたりできていなかった)


→ 委託いただいた物を そのまま返品する事が・・・

→ このままでは いけない!!



・改善しました。

店頭にてデモ、試聴をできるように
webで デモを見れるように
無料情報誌に 記事を

→ お客様に 如何に知ってもらえるか? を重視




・とは言え、限界もあります。

どんどん新作が出てきます。
(年間2000タイトル
1作品全てを 均等に取り扱う事が難しい)




・今年から 更に改善

事前の段階から(2~3ヵ月前)
制作者とすり合わせ、告知していく事をしようとしている。

→ 2~3ヵ月前から、少しずつ告知
 (キャラクター設定や、ストーリーの筋ができあがっていれば
 それを紹介できる)
 (シリーズ物などで 必ず出る事が安定している所だと やりやすい)


→ そうする事で、ユーザーに認知
  売り上げ向上に繋げる




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●とらのあな の、取り扱いした物に対するスタンス

・商品ではなく、作品

買い取っているわけではなく、委託である。

→ クリエイターの作品を 多くの人に手に取ってもらえるように を念頭に置いている

(買い取りの場合は、無理やり売っていかないといけない)




・値引き販売

商品 では、値引き販売をする
(我々が買い取ったので、その商品を どう取り扱おうとも自由)

作品 では、決して 値引き販売をしない

→ 委託品 = サークル様の財産



・安売りしない事 が、インディーズ業界を支えている要因の一つ

安売りする

= そのクリエイターの作品の 商品価値を下げる事になる

→ 一度下がった商品価値は、上がらない

→→ 「ここのゲーム、その内安くなるから 今買うの控えよう」 となる。





・いつでもどこでも 買える事による問題点

ダウンロード販売や、通販
(昔は、限られた機会でしか手に入らない レアリティ感があった)

→ 「いつでも買えるし、今 買わなくていいや」

→ そうならないように
  とらのあな”手にとってもらえる”ための工夫を 今後もしていく





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●質疑応答 より

・売り上げの分布 について

関東圏が多い


秋葉原店が 圧倒的である。
(客数は 全体の20% 、 売り上げ 全体の5%)



売れる物の傾向は、全国 大体一緒

→ 名古屋では、一般作(非18禁)の消化率が高い




・委託について 最小ロットはどれくらい?

→ 特にない (3本で取り扱った事も)

→ 利益を出す  と考えると、300本は欲しい

(維持費などで とらのあな自身も赤字 )

→ とらのあな のスタンスは
 「クリエイターの作ったものを ユーザーの手に取ってほしい」と言う考えなので
 それでも、委託は受けます。
 

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8月31日 ~ 9月2日にかけて行われた CEDEC2010 も無事終了しましたね。


全力で駆け抜けた3日間でしたが、とても楽しかったです。

せっき~の方で、以下のレポート書きましたので 宜しければ見てやってください



- 1日目 -

基調講演】 CEDECとは? そのもたらす価値の追求

コーエーの歴史シミュレーションゲームにおけるAI設計について

キャラクターゲームにおけるメディアミックス

次なる高みへ。ゲームビジネスの近未来像

サイバーコネクトツー流NDSビッグタイトルのつくりかた

ディシディアFINAL FANTASYのAI設計   ドラクエポケモンの対談


- 2日目 -

ライトゲームなう

人を楽しませるプロデュース  

既存の世界観の活用と異なるジャンルへの展開事例  TRINITY Zill O'll Zero

大量のキャラクターを同時に表示・制御する手法


- 3日目 -

「サカつく」のサッカー試合AIシステム

怪盗ロワイヤルができるまで、できた後

ソーシャルアプリに関する大きな誤解



今回ありがたかったのは、ニコニコ生放送 による配信ですね。

タイムシフト視聴ができたお陰で、家に帰ってから 聞けなかった講演を聞くことができ
どの講演を受けるか? の選択肢の幅が増えました。


ただ、放送されている講演の 質疑応答の際に 質問しに行き
その姿が 全国に流れてしまったのは 予想外でしたが


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もう一つ 大きかったのは 「RedBull

RedBull





なんと、会場内にて 無料で RedBull を配っていたのです

RedBull を配っている お姉さんが 天使のように見えました。


会場内には 2000人ほどの来場があったため 1人に1本配ったとして 2000本
(2000本 × 200円 × 3日 = 120万円)

宣伝としては 本気を感じましたが
たしかに、見込客が大量に居るイベントなので かなり有効な戦略だな と感心しました。 

拍手[0回]

2010年8月31日 にあった、CEDECの講演についての記事です。


小さくまとまるな!
~構想10年、制作3年 サイバーコネクトツー流NDSビッグタイトルのつくりかた~





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・『ソラロボ solatorobo』

新規DSタイトル

構想10年 制作3年

→ DSでは考えられない 制作スタイル



疑問1. サイバーコネクトツー と バンダイナムコ が とても仲が良いからできたのでは?

    → NO

疑問2. 「ナルティメット」シリーズや、「.hack」シリーズで儲かってるから できたのでは?
    → NO

疑問3. 時間をかけすぎたから 大作にならざるを得なかった?
    → 断じてNO

疑問4. なんだかんだ言って サイバーコネクトツーだからできたんじゃないの!?
    → YES であり NO


本日の講演では、その疑問に答えつつ
このタイトルの制作にあたって使用した作戦を紹介します。



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●昔 「テイルコンチェルト」と言うゲームがありました。

1996年 PSの3DアクションRPG (開発 10名 ~ 12名)

→ バンダイに持ち込み
 「PSで マリオ64のようなゲームが作れるとは!」と 絶賛


→ バンダイの このタイトルに期待した売上
 初回15万本  最終 30万本

→ 実際は・・・  9.7万本  (損益分岐点は 越えました)


→ バンダイ 思いのほか 売れなかったなぁ

 ”売れなかったイメージ”だけが残ってしまい
後々まで ついてまわることに・・・




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●「テイルコンチェルト」の続編を作るにあたる苦汁

当時 「.hack」「ナルティメットヒーロー」を走らせていた

→ その裏で 「テイルコンチェルト2」を提案


→ 1999年
 「ああ あの売れなかったゲームの続編ね いらない」  
  (実際はちゃんと利益でたのに、売れなかったイメージが・・・)

→ 2000年

  何も見ず 目の前で、ごみ箱へポイ された




・それでも 我々はあきらめなかった

続編を望む声が 国外関わらず多数届いた  (世界では 15万本売り上げ)

サイバーコネクトツー内 作りたいゲームランキング 過去2回 1位に



→ 純粋に 作りたかった
  続編を望んでいる声もあった

→ じゃあ 作ろう!




・「テイルコンチェルト」が売れなかった理由を分析

1.対象年齢が低く奥が浅そう

 → シナリオと世界観を深く掘り下げ、中高生以上に向けて展開


2.見た目に反して ゲームが難しい

 → 複雑な操作がいらない シンプルアクションゲームに


3.犬・猫の擬人化 、 ロボット  ニッチすぎる
 (ロボットは 女の子が食いつかなくなる)

 → だが、”ここ”はゆずれない

 ここは、我々が表現したいところであり 押し通すところだった


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●構想10年
続編を作るために (契約を取れるように)行ったこと



10年の期間があるので、じっくり作戦を練りました。


・「テイルコンチェルト」を過去の物にしなかった

2000年、2002年、2004年と 定期的に HPをリニューアル

九州の防災キャラクターのイメージキャラクターとして 「テイルコンチェルト」に関連したキャラクターを提供

サイバーコネクトツーのHP内で「リトルテイルブロンクス構想」発表




・作戦開始

スタッフ3人 (制作指揮、キャラクターデザイン、世界設定)

「.hack GU」「ナルティメット アクセル」を開発している裏で 
仕事と並行し、仕事が終わってから 毎晩ミーティングを行った。  (これについては 完全無報酬)

→ 1年間かけ  2000点以上の設定資料を作成 (TVアニメ 2クール分) 

(キャラクターから世界観、シナリオや ゲームシステムまで)


・売り込み

1.同時期に パブリッシャー3社に 企画売り込み
 (バンダイナムコ以外にも売り込み)

→ 各社間の競争意識を煽る


2.企画書とは別に 2種類の「設定資料」(A3サイズ)を提出

→ 企画は 10ページ程度だが かなりのボリュームの(製本された) 設定資料を付けて渡す


ソラとロボ





ソラとロボ






ニコ生より かなり本格的で、ページ数も多そうです。


→ 設定資料の効果は大きい
  プレゼン相手の印象に残りやすい + プレゼンに参加していない人の目にも付きやすい

→ 企画書を埋もれさせない武器




3.契約前にかかわらず・・・
 週刊ファミ通に 「テイルコンチェルト」の続編を匂わせる 求人募集

→ このゲームを作りたい と思う開発者が入社




→ バンダイナムコより Goサイン を貰えた




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●開発3年

自分たちの作りたいものを作るために 更に作戦を練る

→ 当初より 開発3年を計画した


・少人数 長期間開発体制

2007年    3名
2008年前期 11名
2008年後期 14名
2009年前期 16名
2009年後期  7名
2010年前期  6名
2010年後期  3名 (今は マスター直前なのに 3人でやってます)

→ 利益を出すため 極力 人数を抑えて コスト削減



・著名なクリエイター陣を起用し 商品力を高める

OPアニメ制作、メカニカルイラスト、キャラクターデザインに 外部のクリエイターを起用

→ 大御所なので 仕事が遅い (多忙中、お願いしてやってもらった)

OPアニメ      ・・・ 1年
メカニカルイラスト  ・・・ 1年
キャラクターデザイン ・・・ 2年

→ 時間がかかるのは 想定内!



・定期的に 子供たちを読んで モニター会

2008年 3回 ・・・ コンセプト と 要素 について確認
2009年 3回 ・・・ 問題点の発見と 修正
2010年 2回 ・・・ バランス調整



・(予想外)開発中3年間で DSiが発売された

→ 予定外であったが、DSiカメラを使った仕様を追加




・3年間だから できた充実の内容

ロボ & ヒト のWアクション
機体性能のカスタム
機体タイプのアクション変化
飛行アクション
戦艦つり (ミニゲーム)
レース  (ワイヤレス通信対戦)
DSiカメラ対応
2部構成、全21話の物語
2種類のOPアニメ
80を超えるクエスト
Wi-Fiで クエスト配信    (ドラクエ9を見て これは入れるしかない と追加)
2.5Dの 立体的なイラスト表現




→ 想定内ではあったが
 この制作手法を信じてくれた バンダイナムコは凄い!!


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●まとめ

初めの疑問に答えます


疑問1. サイバーコネクトツー と バンダイナムコ が とても仲が良いからできたのでは?

    → NO (ごみ箱に捨てられる程の企画だった)
      むしろ ”ダメ”と言われ続けたが、作戦を立て実行したからこそ 承認された


疑問2. 「ナルティメット」シリーズや、「.hack」シリーズで儲かってるから できたのでは?
    → NO
      プロジェクト単体で利益を出すことが大前提
      少人数で細く長く開発して 工数を抑える



疑問3. 時間をかけすぎたから 大作にならざるを得なかった?
    → 断じてNO
      時間をかけたのは作戦
      だからこそ様々な要素を盛り込めた



疑問4. なんだかんだ言って サイバーコネクトツーだからできたんじゃないの!?
    → YES であり NO

     確かに サイバーコネクトツーだからこそ、このやり方を思いつき 実践できた

    → しかし、すべてを紹介した今となっては
     この作戦は特別な物ではないハズ




覚悟と作戦があれば 必ずやりたい事は実現できます。




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●おまけ

・社内内訳

企画 10人  プログラマ 30人  アーティスト 100人以上

→ かなりバランス悪いですが 絵にこだわりたいんです。

→ 各プロジェクトに 企画が1人くらい

→ プログラマと アーティストが 企画と協力して仕様を作っている





・サイバーコネクトツー 社内アイデアコンペ

毎年1つ 160人居る社員全員に 企画を出してもらう
(プロジェクト後の リフレッシュ休暇内に 宿題として出す
新人 ベテラン 分け隔てなく)


→ プログラマであろうと、アーティストだろうと
 ゲームのアイデア一つ 考えられない人間は ゲームクリエイターではない

 サイバーコネクトツーでは そう考えている



→ 全てのアイデアをサーバーにアップ、匿名で みんなで投票

→ 1位~160位 のランキングが出るので 手を抜くわけにいかない





・ゲームの情報の、設定レベルについて

レベル1.  ファミ通の初稿などで 公開される情報

レベル2.  発売までの途中で公開される情報

レベル3.  ゲームをプレイするまでわからない情報
      (完全攻略本などに 乗るような情報)

レベル4.  完全攻略本などに乗るような
       ゲームをクリアした後じゃないとわからない情報、裏話

レベル5.  ユーザーには公開されない
       開発者のみが知りえる情報



 

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2010年9月1日 にあった、CEDECの講演についての記事です。


『TRINITY Zill O'll Zero』における、既存の世界観の活用と異なるジャンルへの展開事例


講演者は ωフォースの方  (無双シリーズの開発)


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・はじめに 「TRINITY Zill O'll Zero」 とは?

10年前に コーエーより発売された フリーシナリオRPGジルオール
の世界観を踏襲された アクションRPG
(PS3)


・ジルオール

→ 様々な種族が共存している大陸が舞台
 独自の 神話、歴史、社会 がある



・TRINITY Zill O'll Zero

ジルオールの 過去の話が舞台
プレイヤーは 新主人公



前作「ジルオール」は 10年前の作品です。
過去のコンテンツを どのように生き返らせるか? についてです


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●最初にやった事は

・状況把握、調査

当時のスタッフが居ない or 忘れている

→ 世界観/キャラ設定が どこまで作られているか?
  世界観/キャラ設定が どこまでゲームに使われているか?
 プレイしたユーザーの好みの傾向

→ 片っぱしから調べた


→ 変更して差し支えない物 を把握する。
 (設定だけあり、まだ ゲームに使われていなかったりする部分)




・膨大・不明な資料の整理方法

全ての情報を 体系化、一覧化した。

→ VisualSourcesafeExcel などで
 (一覧性、検索などに 効果)



 昔のゲームと言うのもあり、仕様不備 が とても多かった・・・

→ 続編作成などの事も考えて、仕様は整備しましょう
 と言うか、仕様を整理しながら作るのは当たり前
 いくら忙しくても 仕様更新するのは基本 (口頭で済ませるのはもっての外)



 整理した後、不足・不明な部分を列挙
今作で 補填する事になります。



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●既存の物の 魅力を増やすには

・新しい価値を追加する

そのためには・・・

変えられる所、変えてはいけない所
追加できる所、追加できない所
   の把握



・将来的な展開を見込んだ設定を作るコツは

9割の作りこみ 1割の余地


→ 使用する しないに関わらず、徹底した設定の作りこみを
 しかし、あえて 未決の設定・展開余地を残しておく


→ 未決ではあるのだが、何かのために 自分なりの答えを何通りか用意している事

→ 未決の部分を 続編や、ダウンロードコンテンツの追加シナリオに使う と言う戦略もできる




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●ジャンルをARPGに変えました
そこから、前作より 何を活かし 何を切るか?



・前作ユーザーの分析

→ RPGとして よかった点は?

 フリーシナリオ    54%
 マルチエンディング  29%
 キャラクター育成   7%
  ・・・



・判断基準となる一線を設ける

そのプロジェクトで 重要な要素、譲れないものは何か?

→ 目指すゲーム性に支障の無いもの  → 全て継承

→ どんなに人気があった要素であろうと、無理やり継承はしない


→→ そもそも 異なるジャンルの時点で 正当な続編では無い と ひらき直り


→ 新しく作っているゲームの楽しさを 最大限に伸ばすこと を最優先にした。



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●なぜ ジャンルを変えた?

・前作と 他のRPGを比較

ジルオール  8.5万本
PSP版      6万本

(参考までに、 ドラクエ9           410万本
        テイルズ オブ ヴェスペリア  34万本
        スターオーシャン4        21万本 )


→ はっきり言って 苦戦している

→ RPGは リスクの高い市場である (開発費も大きいので)

 RPGの場合、仮に 2倍売れたとしても パイできない・・・



・いろいろなジャンルを見比べてみた

ジャンル    シェア   タイトル数

ACT      38%   510
RPG      28%   140
その他     12%   130
ADV       7%   250
ACT・ADV   5%    90
SLG       5%   130
ACT・RPG   3%    40
SLG・RPG   2%    30
ACT・SLG   1%    10

→ ACT・RPG は、RPGほど市場は大きくないが
 勝算が大きい事が判明



・ωフォースの得意分野は アクションである




・今後 ジルオールを ジャンルに捉われないコンテンツにしたい
 コンテンツ そのものの認知度を上げたい


→ 認知度が上がった場合は、再び RPGとして出せる可能性も



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●質疑応答

・前作のジルオールは 10年前のタイトルですが
どうして今 その続編を出そうとしたのか?

開発スタッフの中に、ジルオールを遊んで好きになった若手スタッフが居たり
元々の ジルオールスタッフの愛着

ジルオールと言う世界観、キャラクターは とても魅力的なため 埋もれさせるには勿体ない

→ これを機に ジルオールの世界を世間に認知してほしい

→ あわよくば RPGの続編も作りたいです。




・どうして 主人公を前作キャラでは無く 完全新作キャラにしたのか?

前作のキャラクターを使うと どうしても前作のイメージに縛られてしまい 自由なゲームデザインができない

ARPGとして 自由に動かす場合は、新作キャラクターが望ましい


また、前作の過去 の話なので、前作との矛盾を防ぐためにも 新しいキャラクターとした




・どうして無双のように かなりの種類のキャラが居て 様々なアクションを楽しめる と言うものにしなかったのですか?

無双のように 使用キャラクターを増やしてしまうと どうしても一人のキャラクターを作りこむ時間が無くなってしまいます。

一度、アクションゲームで 一人のキャラを作りこんだもの を作りたかった

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古いパソゲー、ボードゲーム、カードゲームを熱狂的に遊んでいます。


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