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2014年9月3日 にあった、CEDECの講演についての記事です。
将棋の次は人狼か?
人工知能(AI) についての講演です。
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●人工知能の題材について
良い題材は・・・
ルールが明快である。
勝ち負けがある。
強い人が存在する。 (学習対象、目標になる)
ゲーム自体が そもそも面白い。 (研究者のやる気がでない)
実際、人工知能が研究されてきたゲームの例
チェッカー、ポーカー、五目並べ、オセロ、チェス、麻雀、バックギャモン
将棋 (そろそろ人間を超えそう)
囲碁 (後10年で、人間を超えるのではないか?)
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●人工知能の題材として 人狼は?
人工知能の次の研究対象を探さないといけない
(もし10年後 囲碁に勝てるAIを生み出したなら
言い方が悪いけれども、研究者の食い扶持がなくなる)
そこで 人狼
人狼の特徴は
・不完全情報ゲーム
→ 誰がどの役職かわからない。
全ての情報が公開されているわけではない。
他の例では 麻雀、ポーカー
推理や予測などを行わないといけない
将棋、囲碁、チェス などは完全情報ゲーム
多くの完全情報ゲームでは、AIが人間を上回っている
・多人数ゲーム
・非対称性
→ 自分の役職によって、能力や勝敗条件が違う
人狼は、開始の時点で 村人より多くの情報を持っている
・対話が、ゲームの重要な役割になる。
→ 人工知能にとって、非常に難しい。
・説得、協調の要素
→ 自分の持っている情報の一部を公開して、他のプレイヤーより信頼を得たり
相手に協調する という思考が必要
・思考の多段階予測が必要
→ 自分はこう思っている
以外に、このプレイヤーの視点からすると こう見えているだろう
と考えないといけない
例えば、自分が人狼だったとしても
「この発言をするなら、相手は自分を村人だと思うだろう」
と振る舞う。
・嘘をついたり、相手の嘘を見抜かないといけない。
と、なかなか難しそうな題材である。
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●人狼知能プロジェクト
人狼は大きく2つの分類があり 「対面人狼」「オンライン人狼」
今回は、「オンライン人狼」を題材とする
オンライン人狼の特徴は・・・
・チャット形式で行う
・1試合 数日に渡る
→ お互い、熟考した発言が行われる
・プレイヤーは匿名化
→ お互いの性別など わからない
・狼同士の会話が可能
●人狼プロトコルの開発
自然言語での会話は難しい
→ 人狼で行われる会話をモデル化した専用言語でやり取りを行う
例)
「Aさんは人狼でしょう」
→ declare 90% (A wolf) : Aが90%人狼であると確信
「その意見には反対だ」
→ agree 0% (speech 10) : 10番目の発言は 同意しない
「Bさんは人間とは思えないので処刑しましょう」
→ Reqest any 90% (execute B)
because declare 20% (B human)
●現在の成果
人狼対戦用サーバー完成
AI同士による対戦は実現
(将来的には 人間とAIが対戦できるようにする)
・発言は 必要な最小限の内容のみ
→ 役職のカミングアウト
能力によって得られた情報の共有
疑っている対象の報告
・疑い度 を持つ
→ プレイヤーの状態から、人狼らしさを推測
・強化学習を用いて、戦略を学習させた
●結果
人間(学習無し) vs 人狼(学習無し) 人間の勝率 38.6%
人間(学習有り) vs 人狼(学習無し) 人間の勝率 52.9%
人間(学習無し) vs 人狼(学習有り) 人間の勝率 22.3%
人間(学習有り) vs 人狼(学習有り) 人間の勝率 36.4%
→ 学習の有り無しによって、勝率が変化
→→ 戦略の学習が有効
人工知能は、人狼をプレイする事が可能である
・もう一つ面白い結果
生き残り人数が5人の時の夜フェイズ
狼は誰も襲撃しない という上級者の定石が存在する
→ AIが学習により、それを見つける事ができた
・ちなみに
まだ、人間とAIの対戦は行っていない
→ 人狼プロトコルの制限が大きくて、きっと 今やっても楽しくない
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・まとめ
人工知能による人狼は 始まったばかりである。
2014年度中に 大会の実施
(人狼BBSでプレイされた 4778ゲームのデータは、
学習データとして、参加者に配布可能)
など行い、盛り上げていく との事です。
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